2015 Fiscal Year Research-status Report
X染色体不活性化に必要なXist機能付加因子及びリプログラミング因子の同定
Project/Area Number |
26840006
|
Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
大畑 樹也 浜松医科大学, 医学部, 助教 (80616459)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | X染色体の不活性化 / エピジェネティクス / 長鎖非コードRNA / 多能性細胞 / Xist |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、Xist機能付加因子及びリプログラミング因子の網羅的な同定である。胚性幹細胞(Embryonic stem cell, ESC)では、X染色体不活性化及びX染色体再活性化はXist依存的におこる。しかしながら、細胞分化に伴い、X染色体不活性化/再活性化のXist依存性は失われる。我々は独自の実験により、エピブラスト幹細胞(Epiblast stem cell, EpiSC)では、Xist依存性が失われる事を明らかにした。この事は、ESCに存在すると思われるXist機能付加因子が、EpiSCでは機能していない事を示唆している。本研究は、そのXist機能付加因子の単離・同定を目的としている。また、このスクリーニング法では、EpiSCからESCへの変換に必要な遺伝子(リプログラミング因子)の単離も可能であり、平行して行う。 本研究は、Xist/Tsix発現誘導ESC/EpiSCの樹立(実験系の開発と確立)ESC特異的に発現している遺伝子発現ライブラリーの構築(選別の下準備)Xist機能付加因子及びリプログラミング因子候補遺伝子群の単離および機能解析、の3段階に分けられる。 XTTGFP/XTTGFPマウス(XTTGFP:Xistの抑制因子であるTsixの発現誘導アリル+X染色体連鎖GFP遺伝子)とXTX/Yマウス(XTX:Xistの発現誘導アリル)を導入・交配し、その胚盤胞より2i培地を用いてXTTGFPXTX ES細胞を樹立した。その細胞のXTX 側X染色体のHprt遺伝子座にCRISPR/Cas9法を用いてmCherry遺伝子をノックインした。現在までに複数の相同組換え体が単離でき、実験系が確立できた。今後、単離の実験を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究を進めるにあたり、新しく発表された技術であるCRISPR libraryによる網羅的な遺伝子破壊によるスクリーニング(loss of function)の方が、当初の予定であったESC特異的に発現している遺伝子発現ライブラリーの構築とその発現によるスクリーニング(gain of function)よりも効率的と判断し、計画の修正を行った。予算の使用を一年延長する事により、この課題に取り組む予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今回の成果で実験系を確立することができたので、引続き、CRISPR libraryによる網羅的な遺伝子破壊によるスクリーニング(loss of function)を行い、研究を継続する。
|
Causes of Carryover |
平成27年度に、Xist機能付加因子及びリプログラミング因子候補遺伝子群の選別のためにES細胞特異的な遺伝子を集めたcDNAライブラリーを作成する予定であった。しかしながら、研究期間中に、CRISPR/Cas9を利用した遺伝子破壊用のライブラリーが開発され、本研究に応用可能である事が明らかになった。このため、本申請実験を、遺伝子機能付加(gain of function)スクリーニングから、遺伝子機能欠失(loss of function)スクリーニングの系に変更した。以上の理由により、cDNAライブラリーを作成する予定であった分の未使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の理由により、未使用額を遺伝子機能欠失スクリーニング(CRISPR/Cas9を利用した遺伝子破壊用のライブラリー)に使用したい。
|
Research Products
(5 results)