2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規スプライシング調節機構によるDNA損傷修復モデルの立証と解析
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26840008
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
二宮 賢介 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (00437279)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スプライシング / ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は特殊なスプライシング制御による遺伝子発現誘導機構を見出した。具体的には、 mRNAの成熟過程において、特定のイントロンのスプライシングのみが保留された成熟直前の状態(intron-retaining form)で核内に蓄積され、熱ストレスなどに応じて、このイントロンがスプライシングされ成熟するという機構である。しかし、他にどの遺伝子が同様の機構で発現を制御されているか、それらがどのような細胞機能に寄与するかについては、殆ど明らかになっていない。そこで私達は、未知の核内intron-retaining RNAの大規模取得を行い、約900個のイントロン(約700遺伝子)を取得し、新規intron-retaining RNAの候補とした。興味深いことに、これら候補遺伝子群のgene ontologyを解析した結果、スプライシングを含むRNAプロセシングに関わる遺伝子以外に、DNA損傷修復関連遺伝子が多く見られた。そこで、intron-retaining formとDNA損傷修復の関係に着目し、様々な解析を行った。DNA損傷刺激やその他のストレスによって発現誘導される遺伝子群を次世代シークエンサーによって取得し、比較解析を行った。その結果、intron-retaining RNAの中に、DNA損傷ストレスで発現制御されるものが存在することを見出した。また、特定のDNA損傷関連遺伝子のintron-retaining formの蓄積に必須なRNA結合蛋白質を見出した。さらに、intron-retaining formが、転写停止時に成熟型mRNA量を一定期間保持するためのバッファーとしての作用を持つ可能性が示唆された。
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