2014 Fiscal Year Research-status Report
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26840016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 亮平 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (90622548)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セカンドメッセンジャー / X線結晶構造解析 / 環状ジヌクレオチド / 構造生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状ジヌクレオチド (CDN) は細胞内シグナル伝達のセカンドメッセンジャーとして多様な生理活性を担っている.脊椎動物では,ウイルス由来DNAによってcGASが活性化され,ATPとGTPからcyclic GMP-AMP (cGAMP) が産生され免疫応答が惹起される.近年,真性細菌における新規のcGAMP産生酵素として,ジヌクレオチド環化酵素 (dinucleotide cyclase; DncV) がVibrio choleraeより同定され,DncVはコレラ菌の病原性に強く関与していることが示唆された.脊椎動物由来cGASによって産生されるcGAMPはリン酸ジエステル結合が2'-5'および3'-5'で結合する非標準的な環状構造をとるのに対し,コレラ菌由来DncVによって産生されるcGAMPは両方のリン酸ジエステル結合が3’-5’で結合する標準的な環状構造をとる.
本研究ではDncVによるCDN産生機構を解明することを目指し,V. cholerae及びE. coli由来DncVの結晶構造解析を行なった結果,単体および反応前に相当するpre-reaction 状態のヌクレオチドとの複合体について1.6~2.3オングストローム分解能で構造決定に成功した.DncVはATPおよびGTPをそれぞれアクセプターおよびドナーポケットで好んで結合することが明らかになった.ごく最近,報告された中間状態の構造と比較することでDncVによるcGAMPの生産機構を解明することが可能になった.また,cGASのpre-reaction stageの構造と比較すると,両者はアクセプターヌクレオチドの配向が違い,これが2'-5'および3'-5'の結合特異性を決定していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では平成26年度に発現系の構築,単体の構造決定を行い,27年度に複合体の構造解析を行う予定であった.単体の高分解能結晶と共に,共結晶化法や湿潤法によりpre-reaction状態でのヌクレオチドとの複合体の構造決定に成功し,論文採択までが26年度内に終了した.
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Strategy for Future Research Activity |
中間状態やpost-reaction状態で複合体の構造解析を目指し,各種ヌクレオチド複合体(cGAMP, c-di-GMP, c-di-AMPなど)との共結晶構造解析を行う予定である.また最近,5-メチルテトラヒドロ葉酸ジグルタミン酸 (5MTHFGLU2)がDncVの活性に重要であるという報告がされたため (Zhu et al., Mol Cell, 2014),5MTHFGLU2存在下でヌクレオチド複合体との共結晶化,構造解析を行う.
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