2014 Fiscal Year Research-status Report
オートファゴソーム形成を駆動するユビキチン様タンパク質脂質化反応機構の解明
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26840017
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中戸川 万智子 東京工業大学, フロンティア研究機構, 先進研究員 (90402461)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オートファジー / ユビキチン様タンパク質 / E2酵素 / E3酵素 / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
オートファジーによる分解には被分解物を包み込む二重膜胞オートファゴソームの形成が必須であり、そこではユビキチン様タンパク質Atg8と脂質分子ホスファチジルエタノールアミン(PE)が結合したAtg8-PEが重要な役割を果たす。Atg8は、E1酵素およびE2酵素を介するユビキチン結合反応と同様の反応を経てPEと結合する。興味深いことに、Atg8のE2酵素Atg3からPEへの転移を促進するE3酵素は、ユビキチン様タンパク質Atg12とAtg5の結合体Atg12-Atg5である。我々は最近、Atg12-Atg5結合体がAtg3の活性中心に構造変化を引き起こし、その活性を上昇させることを見出した(Sakoh-Nakatogawa et al., 2013)。本研究では、活性化の作用機序を明らかにするため、Atg12-Atg5結合体とAtg3の複合体の結晶構造解析に取り組む。 まず、Atg12-Atg5~Atg3複合体を安定化させるため、化学架橋剤による結合を試みた。Atg12とAtg3の相互作用に重要なアミノ酸残基に立体的に近接する残基をCys残基に置換したAtg12-Atg5結合体の変異体とAtg3変異体を精製し、最適な化学架橋剤を検討した。その結果、およそ50%の効率でAtg12-Atg5~Atg3の架橋産物を得ることに成功した。さらにHisタグ精製、イオン交換カラム、ゲル濾過カラムによる精製を行うことでAtg12-Atg5~Atg3架橋産物の精製にも成功し、現在、より高純度の精製サンプルを得る条件を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Atg12-Atg5結合体とAtg3の相互作用が弱い可能性を考慮し、これらの化学架橋産物の結晶構造解析に取り組んでいる。変異体および化学架橋剤の検討によって架橋産物を得ることに成功したが、Atg3単体の等電点や分子量が架橋産物と近いため、Atg12-Atg5~Atg3架橋産物の精製サンプルに混入したAtg3単体の分離に難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
Atg12-Atg5~Atg3架橋産物とAtg3単体を分離させるため、精製条件を検討する。具体的には、バッファー組成や精製タグを検討する。あるいは、Atg12とAtg3をタンデムに繋いだ変異体の作成、耐熱性酵母K. maarxianusなどに種を変えて精製を試みる。
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Research Products
(7 results)