2015 Fiscal Year Research-status Report
小胞体における輸送小胞形成部位の構築と制御機構の解析
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26840031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
依光 朋宏 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (00534364)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | COPII / GTP加水分解 / Sar1 / Sec16 |
Outline of Annual Research Achievements |
真核細胞において、小胞体-ゴルジ体間の物質輸送を担うCOPII小胞は小胞体膜上のER Exit Sites(ERES)と呼ばれる特異的な領域からCOPIIタンパク質の働きにより形成される。本研究課題では、ERESにおけるCOPIIタンパク質の調節メカニズムの解析を、COPII小胞形成反応に必須な因子であるSec16に焦点を当てその機能解析を行う。平成27年度は、前年度までに高純度かつ高収量で精製に成功しているSec16 N末端領域(Sec16 N735)断片について、試験管内再構成実験系を用いその機能の解析を試みた。 1. COPII低分子量GTP結合タンパク質Sar1とリポソームならびにSec16 N735の混合液に、GTPを添加しSar1のGDP-GTP交換反応を調べるとその反応が阻害された。一方、非加水分解性アナローグGMP-PNPを用い同様の実験を行った場合にはこのような反応阻害は見られなかったことから、Sec16 N735はSar1のGTP加水分解活性の促進が考えられた。この可能性を調べるためにGTP結合型に変換させたSar1を含む反応液にSec16 N735を加えた。予想通り、GTP加水分解活性の促進が確認された。 2. Sec16 N735はSar1とそのグアニンヌクレオチド結合型依存的に相互作用するのかを調べた。GDP結合型Sar1変異体Sar1 D32GとGTP結合型Sar1変異体Sar1 H77Lを大腸菌から精製しSec16 N735と共にプルダウン実験により相互作用の解析を行った。Sec16 N735はSar1 H77Lと顕著に直接相互作用することが明らかとなった。 以上の結果から、Sec16はそのN末端領域でSar1のGTP結合型と特異的に結合し、またSar1のGTP加水分解活性の促進因子として働くという新たな調節メカニズムを示すことがきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度までに、バッファーや反応条件等について検討を行った結果、Sec16のN末端領域Sec16 N735精製断片を用いた試験管内再構成実験系の構築とその機能解析に成功した。そして研究実績の概要に述べた通り次年度の研究につながる結果も得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度にSec16 N735はCOPIIコートとの相互作用が見られなかった。このため、Sec16 N735によるSar1のGTP加水分解活性の促進機能に焦点を当て研究を行う。平成26年度においてSec16 N735由来の短い断片の精製に成功しているので、この断片のGTP加水分解活性の促進能の有無を調べることにより、Sec16 N末端領域によるSar1の機能調節メカニズムの解析を行う。
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Causes of Carryover |
平成27年度に、Sec16 N末端領域がSar1のGTP加水分解活性の機能調節に働いていることが示唆され、この予想外の新規機能の解析に多くの時間を費やすこととなり次年度以降使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続き、Sec16 N末端領域の機能解析を行うための分子生物学/生化学実験の実施に必要な試薬、機器またプラスチック製品の消耗品の購入に使用する。また得られた研究成果を学会で発表を行うための旅費ならびに論文として発表するための投稿費用として使用する。
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Research Products
(3 results)