2014 Fiscal Year Research-status Report
ハイブリッド型バクテリアべん毛モーターの環境変化感知と回転力発生の分子基盤
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26840035
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
寺原 直矢 大阪大学, 生命機能研究科, 招聘研究員 (40554738)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | べん毛モーター / 1分子計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
モデル微生物として広く知られている枯草菌は、プロトン駆動型MotABとナトリウムイオン駆動型MotPSの異なる2種類の固定子が同一のべん毛モーターで機能できるという、これまでに報告されている他のモーターにはない特徴を有する。そこで本研究では、性能の異なる2種類の固定子がどのように外環境の変化に応答してべん毛モーターに組み込まれ、駆動力を発生するのかを明らかにすることを目的とする。 まず、極小のビーズを用いたナノ顕微計測法による1分子回転計測を行い、MotABおよびMotPSがそれぞれ発生するトルクを計測した。高負荷時における固定子1個あたりが出力するトルクはほぼ同じであるであるが、低負荷時における回転数がMotABに比べ、MotPSは圧倒的に遅いことが分かった。低負荷時におけるモーターはイオン透過速度が律速になることが考えられていることから、MotPSのイオンチャネル活性は低いことが推察された。さらに、野生株の計測を行ったところ、MotABとMotPSの両方が同一のモーターに組み込まれていることがトルク特性から明らかとなった。また、蛍光イメージング法による固定子の細胞内局在性を調べたところ、MotPSは外環境にナトリウムイオンが存在するときに局在性を示すことが分かり、固定子が外環境の変化を感知してべん毛モーターに組み込まれることが分かった。 現在、遺伝子工学的手法により各種ドメインを入れ替えた様々な改変型固定子を作製し、トルク特性および細胞内局在性を解析することで、外環境変化の感知に関わるドメインを同定する実験を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、枯草菌の持つ2つの固定子のトルク特性を明らかにし、野生株はこれら2つの固定子が同一のモーターに組み込まれて機能していることを明らかにした。さらに、蛍光タンパク質を用いたイメージングにより、ナトリウムイオンの有無によってMotPSの細胞内局在性が変化することが明らかとなり、研究計画通り進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、研究計画通り、遺伝子工学的手法により各種ドメインを入れ替えた様々な改変型固定子を作製し、トルク特性および細胞内局在性を解析している。今後、外環境変化の感知に関わるドメインを明らかにし、研究成果を論文に発表する。
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Causes of Carryover |
海外における学会参加を行わなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は変異型固定子タンパク質を作製するため、特に合成DNAに使用する計画である。
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