2015 Fiscal Year Annual Research Report
細胞膜カーブを介した新しいシグナル伝達複合体のモデル構築
Project/Area Number |
26840037
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂本 泰久 熊本大学, 生命科学研究部, 助教 (20613392)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 細胞膜カーブ / ユビキチン化 / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、細胞内シグナル伝達分子の機能調節における細胞膜カーブの働きを明らかにすることである。ある種のシグナル伝達分子は細胞膜のカーブを認識して膜に結合することで活性化する。我々はこのような特異的な性質を持つ分子群が細胞膜ドメインに集積することでシグナル伝達が効率化されるという仮説を立て検証を行っている。これまでに我々はE3ユビキチン化酵素Nedd4Lがクラスリン被覆ピットの細胞膜カーブに結合し活性化することで積荷分子のユビキチン化とエンドサイトーシスを促進することを見出している。 本研究の最終年度ではNedd4Lと基質を繋ぐアダプター分子ARRDC1の機能における細胞膜カーブの役割を検証し以下の事を明らかにした。①ARRDC1の細胞膜局在を詳細に調べ、膜結合に必要な領域を同定した。②ARRDC1はフォスファチジルセリンだけでなくPIP2にも結合した。③ARRDC1とNedd4Lは独立にリン脂質に結合するが、複合体形成によって2つの分子のリン脂質結合力は相加的に高まった。④部位欠損ARRDC1変異体を用いた解析によって膜結合領域とアダプター機能に重要な領域は異なることが明らかになった。 これらの結果から以下のモデルが考えられる。クラスリン被覆ピットに存在する負に帯電したリン脂質、そして細胞膜カーブによって、Nedd4LとARRDC1という積荷分子のユビキチン化に関わる分子がリクルートされる。ARRDC1はNedd4Lのアダプター分子として働き、同時に細胞膜カーブに依存してNedd4Lを活性化する。これによって積荷分子は効率的にユビキチン化されエンドサイトーシスされる。本研究によってNedd4Lの活性化における細胞膜カーブとアダプター分子ARRDC1の働きが明らかになった。
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