2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26840047
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小澤 大作 福井大学, テニュアトラック推進本部, 助教 (60554524)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シャペロン / アミロイド / アミロイドーシス / 蛋白質品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、細胞外における蛋白質の品質管理機構が注目されている。本研究では、細胞外の恒常性維持の一翼を担う細胞外シャペロンによる細胞外蛋白質品質管理機構の包括的解明を目指すべく、新規細胞外シャペロンの機能解析、in vivoでの細胞外シャペロンによる異常蛋白質のリソソーム輸送、α2マクログロブリンによる蛋白質品質管理の分子機構解明の3つの研究計画を予定している。 本年度は、新規細胞外シャペロンの機能解析を中心に研究を進めてきた。既知細胞外シャペロンといくつかの類似の特徴を持つC反応性蛋白質と血清アミロイドP成分は、カルシウム依存的な構造変化やリガンドとの結合が知られている。カルシウム存在下・非存在下の両条件で、これら蛋白質の構造状態をゲルろ過クロマトグラフィーにより明らかにした。さらに、カルシウム存在下・非存在下での各種アミロイド線維形成に対する影響をチオフラビンT蛍光により評価した。アミロイドβとD76N β2ミクログロブリンアミロイド線維形成にC反応性蛋白質ならびに血清アミロイドP成分を添加すると、すべての条件で両蛋白質ともに濃度依存的かつsubstoichiometricにアミロイド線維形成を抑制することを明らかにした。等温滴定型熱量計ではC反応性蛋白質および血清アミロイドP成分とアミロイドβおよびD76N β2ミクログロブリンの相互作用の反応熱が検出され、ドットブロット法とELISA法からアミロイドβとD76N β2ミクログロブリンのモノマーやアミロイド線維との相互作用が見られた。以上の結果から、C反応性蛋白質と血清アミロイドP成分はカルシウム非依存的に生体内で細胞外シャペロンとして機能していることが示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画では、新規細胞外シャペロンの機能解析およびin vivoでの細胞外シャペロンによる異常蛋白質のリソソーム輸送を予定していた。新規細胞外シャペロンの機能解析については、順調に進展しており現在論文としてまとめ投稿準備を進めている。一方、新規細胞外シャペロンの機能解析に時間を費やしたため、in vivoでの細胞外シャペロンによる異常蛋白質のリソソーム輸送については研究が遅延している。そのため27年度のα2マクログロブリンによる蛋白質品質管理の分子機構解明と平行して研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞外シャペロンがどのようなサイズの異常蛋白質までをリソソームに輸送できるか明らかにするため、蛍光色素ラベルしたアミロイド原性蛋白質のモノマー・オリゴマー・アミロイド線維を作製し、マクロファージあるいは肝細胞培養系に細胞外シャペロンとそれぞれの構造を持つアミロイド原性蛋白質を添加、リソソームに輸送され除去される機構を蛍光顕微鏡を用いて観察する。α2マクログロブリンの各ドメインのシャペロン活性・リフォールディング活性領域の同定をチオフラビンTによる分光蛍光定量法およびルシフェラーゼの酵素活性測定から評価する。また、核磁気共鳴測定から分子レベルでのα2マクログロブリンの異常蛋白質認識機構およびリフォールディング機構の知見を得る。以上の結果から、細胞外シャペロンによる蛋白質品質管理機構の詳細に迫る。 研究が行き詰まった場合には、研究の最適条件をこれまでの実験データを基に検討し、新たな実験システムを構築するなどトラブルには柔軟に対応する。申請者は大阪大学蛋白質研究所蛋白質構造形成研究室の共同研究員となっているため、研究設備の利用も可能であり適宜助言を受けながら研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
新規細胞外シャペロンの機能解析研究の中心となるC反応性蛋白質と血清アミロイドP成分はこれまで一般的な試薬メーカーから購入していたが、今回新たに共同研究先の研究室が精製したC反応性蛋白質と血清アミロイドP成分を譲り受けたため、試薬購入費を抑えることができ使用残高が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究費は主に、計画した試験管内実験の研究試薬やガラス・プラスチック器具などの消耗費に使用する予定である。また一部は、日本生化学会大会の旅費、研究成果を論文として発表するための論文投稿料や論文校閲にも使用する予定である。
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Research Products
(1 results)