2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26840047
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
小澤 大作 福井大学, テニュアトラック推進本部, 助教 (60554524)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シャペロン / アミロイド / アミロイドーシス / 蛋白質品質管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
C反応性蛋白質(CRP)と血清アミロイドP成分(SAP)は、環状5量体構造を持つペントラキシンファミリーに属し、自然免疫系において重要な役割を果たす。一方、CRPは、アルツハイマー病患者の老人斑周辺に検出され、SAPは、様々なアミロイド線維と共局在する。このことから、両蛋白質ともにアミロイド線維の形成に関与している可能性が示唆される。 本研究では、まず初めにCRPとSAPが、アルツハイマー病に関連するアミロイドβ(Aβ)のアミロイド線維形成や遺伝性全身性アミロイドーシスに関連するD76N β2ミクログロブリン(β2-m)のアミロイド線維形成を、濃度依存的かつsubstoichiometricに抑制することを明らかにした。この線維形成抑制は、カルシウム非依存的に起き、AβやD76N β2-mのモノマーやオリゴマーとの相互作用によりアミロイド線維形成を抑制することが示唆された。また、SAPは、線維形成のみならずグルタチオン-S-トランスフェラーゼの不定形凝集体の形成も抑制することが分かり、幅広い蛋白質凝集抑制活性が示された。 さらに興味深いことに、カルシウム存在下におけるD76Nβ2-m線維形成において、SAPは反応初期では線維形成を抑制し、反応後期では線維形成を促進することが明らかになった。SAPの線維形成に対する抑制と促進の2面性を、1つの実験系から捉えることに成功した。また、SAPのこの線維形成促進効果は、EDTA存在下で消失することがわかった。 以上の結果から、CRPとSAPはともに細胞外でシャペロンとして機能し、蛋白質の異常凝集を抑制する一方、一度アミロイド線維が形成するとSAPは線維と結合し、線維を安定化することで線維形成を促進するという多面性があると考えられる。
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