2014 Fiscal Year Research-status Report
ATPaseファミリー全体に当てはまる一般的な構造変化メカニズムの解明
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26840051
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
伊藤 祐子 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 客員研究員 (00608698)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 理論と実験による共同研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
ATPase蛋白質は、エネルギーに関する広汎な反応を担う蛋白質ファミリーであり、構造変化を通して、多種多様な機能発現に至る。申請者は、このATPase蛋白質の構造変化に共通するメカニズムを明らかにしようとしている。 一連のATPaseの構造変化は、基質であるATPの3つのイベント(ATP結合、加水分解反応、生成物解離)によって引き起こされる。したがって、構造変化の全貌を知るには、それら異なるステップのATPに関わるの構造変化のメカニズムを個別に明らかにしていく必要がある。それらを明らかにすべく、申請者は、まず初めにATPaseの中でも最も研究が進んでいるF1-ATPase(ATP合成・加水分解酵素)を研究対象に研究に着手した。研究手法としては、原子レベルでの詳細な構造変化を知るために理論予測を使い、後に得られたモデルを実験で実証する。 これまでの申請者の研究により、F1-ATPaseについてのすべてのステップ(ATP結合、加水分解反応、生成物解離)の構造変化は理論的に明らかになった。特に、科研費を受給した26年度では、上記した3つのうちのATP加水分解後の生成物の解離の過程についての結果が、Biophysical Journalに受理され、掲載された(Y.Ito, et al, 108, 85-97, 2015, Biophysical Journal)。以上により、F1-ATPaseでの、ATPによって引き起こされる構造変化のメカニズムは完全に予測されたことになる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ATPase全ファミリーにあてはまる一般的なメカニズムを明らかにしようとしてる中で、その代表であるF1-ATPaseについては、完全なメカニズム予測が完了している。また予測したメカニズムを実験で実証する部分についても、実験系は立ち上がっており、データ採取も進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、F1-ATPaseで明らかになった構造変化のメカニズムが、他のATPaseに当てはまるか否かを他のATPaseで同様のシミュレーションを行い検証していく。一方、実験の方も、得られたデータが、理論予測の結果と一致しているかどうかの検証を行う。また、理論予測検証のさらなる実験を計画し遂行していく。
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