2014 Fiscal Year Research-status Report
微小管結合蛋白質Furryの紡錘体形成及び劣性遺伝性精神遅滞における機能解明
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26840060
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 友朗 東北大学, 生命科学研究科, 助教 (10723059)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Furry / CCT複合体 / 紡錘体微小管 / 劣性遺伝性精神遅滞 |
Outline of Annual Research Achievements |
Furry (Fry) は進化的に高度に保存された遺伝子であり、細胞の極性化や形態形成に関与している。また、哺乳類細胞のFryは微小管結合能を有し、体細胞分裂における紡錘体の正常な形成に必要である。私たちは、LC/MS質量分析によってFryの新規結合タンパク質の探索を行い、細胞質シャペロニン複合体であるCCT複合体の構成因子を同定した。また、免疫沈降実験及び精製タンパク質を用いたプルダウンアッセイによりFryとCCTが直接相互作用することを明らかにした。CCTはアクチン、チューブリンなどの細胞骨格タンパク質や細胞周期タンパク質のフォールディングに必要であることが知られていることから、in vitroでのフォールディングアッセイを行いCCTの活性に対するFryの影響を検証した。その結果、Fryの発現抑制及び過剰発現細胞ではCCTのフォールディング活性に有意な差は認められなかった。 最近、劣性遺伝性精神遅滞の原因遺伝子として、FryのC末端側欠損変異体(R1197X)が同定された。この変異体に相当するFry断片変異体(N-1196)を作製しHeLa細胞に過剰発現させたところ、FryのN末端側においてみられる微小管の安定化能が著しく低下していた。さらに、分裂期においてFryと結合することが明らかになっているPolo-like kinase-1 (Plk1) との結合能も失われていることを見出した。以上の結果から、Fry N-1196変異体においては分裂期における紡錘体微小管の安定化やFry依存的なPlk1の活性化能が失われていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、Fryの新規結合タンパク質としてCCT複合体を新たに同定した。また、FryとCCTが直接的に相互作用していることを明らかにし、Fryとの結合がCCTの活性には影響しないことを示した。また、Fry N-1196変異体の機能解析を行い、当該変異体がFryによる紡錘体形成制御機構である紡錘体微小管の安定化やPlk1の活性化能を失っていることが明らかになった。この結果は、Fry N-1196変異体がFryの紡錘体形成に関わる機能を欠損していることを裏付ける結果であり、Fry N-1196変異体による劣性遺伝性疾患の病因の一端に結びつくものと考えられる。以上の点より、研究はおおむね順調に進展しているものと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、Fryの発現抑制による紡錘体形成異常がFry N-1196変異体で回復するかどうかを検証することで、Fry N-1196変異体による異常を細胞レベルで解明する。また、Fryの発現抑制や変異体の発現による細胞増殖に与える影響を検証することにより、変異体のホモ接合体のキャリアにおいて見られる症状の病因解明につながる分子メカニズムの一端を明らかにする。
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