2015 Fiscal Year Annual Research Report
HTLV-1 Taxによるユビキチン修飾を介したIKK複合体活性化機構の解析
Project/Area Number |
26840062
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 佑里 東京大学, 医科学研究所, 助教 (20722573)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | HTLV-1 Tax / ユビキチン修飾 / NF-κB |
Outline of Annual Research Achievements |
Tax誘導性のIKK複合体活性化に必要なポリユビキチン鎖の型を決定するために、1) 質量分析を用いたポリユビキチン鎖の絶対定量、2) 鎖型特異的な脱ユビキチン化酵素を用いた解析、3) ユビキチンのリシン残基をアルギニン残基に置換した変異体を用いた解析を行った。その結果、Taxは複数の結合様式が混在する混合鎖のポリユビキチン鎖を誘導すること、また、混合鎖の形成に必要なリシン残基の変異体によりTax誘導性のIKK複合体活性化が抑制されることを明らかにした。 Tax誘導性のIKK複合体に必要なユビキチン結合酵素 (E2) を決定するために、哺乳細胞に存在する約30種類のE2ドミナントネガティブ変異体を作製した。そのうち、Ubc13変異体の強制発現によりTax誘導性のIKK複合体活性化が抑制された。また、Taxがユビキチンリガーゼ (E3) として機能する可能性を検討したが、Taxはリガーゼ活性を有しておらず、他のE3がIKK複合体活性化に必要であることが示唆された。5つのE3候補のうち1つの遺伝子欠損細胞において、TaxはIKK複合体活性化を誘導することができなかった。さらに、Tax発現細胞の細胞溶解液を用いた共免疫沈降実験やin vitro結合実験により、Taxと候補E3が結合することを明らかにした。 以上の結果より、Taxは候補E3がIKK複合体に結合するためのアダプタータンパク質として機能し、候補E3によって誘導された混合型のポリユビキチン鎖依存的に巨大分子複合体が形成されてIKK複合体が活性化することを明らかにした。TaxによるIKK複合体活性化は細胞不死化に関与するため、Taxと候補E3の結合を阻害する化合物や、候補E3のリガーゼ活性を阻害する化合物はATL発症予防などに応用できる可能性が高いと考える。
|
Research Products
(2 results)