2014 Fiscal Year Research-status Report
老化機序の鍵を握る、核構造と代謝ネットワーク相互作用の解明
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26840070
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
瀬戸山 大樹 九州大学, 大学病院, 助教 (30550850)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタボローム解析 / 核構造 / ミトコンドリア代謝 / 代謝酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内代謝物の変動は、生体の状態をより正確に反映していると考えられることから、微細な生体応答解析の重要性が強く指摘されている。本研究は、申請者が長年関わってきた質量分析を基盤とする代謝物一斉網羅的解析技術(メタボローム解析)を駆使し、早老症(特にプロジェリア症候群)の一因と考えられるラミンA遺伝子LMNA変異による核構造異常と代謝ネットワーク相互作用を明らかにすることを目的とする。このため、まず、CRISPR/Cas9遺伝子編集技術に基づき、複数種のLMNAノックアウト細胞株の作成を行った。次に、これらの細胞株で、複雑な代謝ネットワークを網羅的に俯瞰するための要素技術として、(1)解糖系、TCA回路およびグルタミノリシスの代謝フラックス解析の最適化をはかることと、(2)メタボローム解析の計測可能代謝物の網羅性を高めるため、LC-MSだけではなくGC-MSによる統合測定プラットフォームを整備し、現在では計900成分弱のモニタリングが可能となった。そこで、これらの基盤に立ち、正常細胞とLMNAノックアウト細胞のメタボローム比較解析を行ったところ、非常に興味深いことに、ミトコンドリアに由来する代謝系との相互作用を示唆する結果を得た。核の異常とミトコンドリア代謝との関連はこれまでほとんどわかっていないため、現在、本研究で取得した結果を再検証するとともに、ミトコンドリア内の代謝物・代謝酵素の変動に関する詳細な検証を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の予定を上回り、核構造に異常をきたした細胞において、ミトコンドリアを標的とする代謝ネットワークの異常が浮き彫りになったから。
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Strategy for Future Research Activity |
複数種のLMNAノックアウト細胞において再検証するとともに、ミトコンドリア代謝物(水溶性・脂溶性)および代謝経路を詳細に検証する。
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Causes of Carryover |
今年度はノックアウト細胞株の樹立と質量分析による測定代謝物の網羅性をより高めることに重点を置いたことや、当研究内容の学会発表(特に海外での)を行わなかったため、当初の計画よりも少ない支出となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
種々の細胞株で詳細な検証を行うため、試薬・消耗品類の支出を高めること、国内や海外の学会に積極的に参加すること、および成果発表のために論文校正・投稿料等が発生することなどで、次年度の支出は繰越分を含めて当初の計画以上の支出を行う。
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