2014 Fiscal Year Research-status Report
MAPキナーゼによるICE1のリン酸化と低温シグナル伝達の調節
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26840087
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三浦 謙治 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00507949)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 転写因子ICE1 / MAPキナーゼ / リン酸化 / 低温シグナル伝達 / 低温ストレス応答 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
低温シグナルにおいてMYC型転写因子ICE1は既知の最上位に位置する転写因子であり、低温ストレス応答において重要な役割を果たす。ただ、このICE1の活性化機構に関してはほとんど分かっていない。我々の研究室ではICE1の活性化に重要な因子を探索する目的で、酵母2ハイブリッドスクリーニングを行い、リン酸化に関わるMAPキナーゼ(MPK)を相互作用因子として単離した。相互作用するMPKとしてMPK4とMPK6を単離した。mpk4変異体及びmpk6変異体を用いて低温ストレス処理を行ったところ、mpk4変異体で低温感受性を示したことから、MPK4が低温ストレス応答に関わっていることが示唆された。 MKK2EE(活性化型MAPキナーゼキナーゼ)とMPK4をベンサミアナタバコにて発現させることでリン酸化されたMPK4を得た。このMPK4とICE1をin vitroで反応させたところ、非常に高い位置にバンドシフトが確認された。同様にMPKの一般基質であるMBPを用いてもバンドシフトが見られたのでリン酸化は正常に働いていると考えられる。非常に高い位置にバンドシフトが見られた理由としては、ICE1には51のセリン残基、13のスレオニン残基をもつことから、これらの多くがリン酸化された可能性が考えられる。そうするとリン酸化部位の特定は非常に困難である可能性が高い。 RT-PCRの結果より、mpk4変異体において低温誘導性遺伝子の発現低下が認められた。このことから、その他の遺伝子発現がmpk4によって変化するかを明らかにする目的でマイクロアレイを行う予定である。今年度は質の高いRNAの調製を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MPKに関する研究に関しては順調に進んでいるが、申請書に記載した、MPKの上流に関する研究が遅れている。今後、上流に関しても研究を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
概要でも説明したように、mpk4変異体で、低温誘導性遺伝子の発現低下が見られていることから、マイクロアレイを用いて網羅的に調べる予定である。この発現プロファイルを公開されているマイクロアレイデータと比較する。比較対象としては、mkk2変異体(mpk4の上流)、ice1、CBF2-ox(ICE1の下流)、低温ストレス時、サリチル酸投与時における発現プロファイルと比較する。もしMAPキナーゼカスケードがICE1の調節に重要ならば、これらの変異体における発現プロファイルは似たようなプロファイルになると期待される。 MPKの上流に関しては、上流の変異体においてICE1のリン酸化を調べる必要がある。ICE1のバンドシフトがこれらの変異体でどうなっているかを明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度にテクニシャンの雇用を考えていたが、適任者が見当たらなかったため。別予算で雇用中のテクニシャン(今年度で予算終了)を次年度での雇用に振替えを行う。また、マイクロアレイ等が今年度中に間に合わず、次年度にまわすため。旅費に関しても、今年度予定していた学会が学内用件と重なり参加できなくなったため使用していない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
交付時の予算通り、テクニシャンの雇用代として200万円を使用する予定である。また、マイクロアレイ用の消耗品費等を使用する。旅費に関しては国内学会に参加予定である。今年度には論文投稿に至らなかったため、次年度に論文掲載費を使用する予定である。
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