2014 Fiscal Year Research-status Report
受精によって活性化される転写ネットワークの下流で植物体軸を構築する実働機構の解明
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26840093
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
植田 美那子 名古屋大学, 理学研究科(WPI), 講師 (20598726)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 体軸形成 / 細胞極性 / 植物発生 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) ライブイメージングによる受精卵の極性化動態の可視化 植物の初期胚において体軸が形成されるしくみはいまだ不明であり、なかでも、その端緒となる受精卵の極性化機構はほとんど分かっていない。そんななか、本研究では、二光子励起顕微鏡と胚珠培養系を組み合わせた独自のライブイメージング系により、シロイヌナズナの受精卵が極性化する過程を高精細に可視化することに成功した。この際、微小管やアクチンといった細胞骨格や、核やミトコンドリアといったオルガネラを多色で蛍光標識することにより、さまざまな極性化イベントを同時に観察できるようになった。
(2) 受精卵を極性化させるメカニズムの解析 上記のライブイメージング系において、さまざまな阻害剤を投与することで、細胞骨格やオルガネラ活性を阻害した際に、受精卵の極性化がどのように損なわれるかを判定した。その結果、極性化の原動力の特定できつつある。現在は、我々がこれまでに単離した極性制御因子であるWRKY2やその下流で働く因子群の変異体と、このライブイメージング系を組み合わせることで、これら因子が極性化に果たす役割の精査を進めている。また、受精卵の極性化過程だけでなく、胚のパターン形成のライブイメージングも進めており、受精卵が極性化できなかった場合にパターン形成がどう損なわれるかを判定することで、受精卵の細胞極性が胚のパターン形成に反映されるしくみについても解析中である。これまでに解析したWRKY2下流因子群の単一変異体シリーズのなかでは、顕著な極性異常を示す株はいまだ得られていないものの、冗長性を考慮して多重変異体の作出を続けており、また、受精卵極性と胚のパターン形成をともに制御する因子を別のスクリーニングから既に得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、分子遺伝学的手法やライブイメージング法などを駆使することで、受精卵の細胞極性が胚のパターン形成に反映されるしくみを理解することである。現在までに、受精卵極性と胚のパターン形成の両方を阻害する薬剤や変異体を得ており、それらを用いた高精度イメージングによって、受精卵の極性(細胞骨格やオルガネラ動態)の可視化と、それらが損なわれた際の経時観察に成功しており、受精卵極性が体軸形成に果たす役割について顕著な発見があった。したがって、本研究は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、現在作出中の多重変異体において、受精卵や初期胚の表現型を詳細に判定するとともに、これまでに受精卵極性を損なうことが見出された薬剤や変異体が体軸形成に果たす役割を突き止めるべく、さらに多様な細胞極性マーカーや、胚のパターン形成マーカーを駆使してライブイメージングを行う。
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Research Products
(9 results)