2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26840096
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 直紀 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40553623)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物ホルモン / 細胞周期 / 根 / エンドサイクル / 環境ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
現在までに、細胞分裂周期からDNA倍加周期(エンドサイクル)への転換には、E3リガーゼAPC/Cの活性化因子であるCCS52A1が重要な役割を果たしているとが知られている。そして今までに、CCS52A1遺伝子の転写制御には、植物ホルモンのサイトカイニンによるシグナル伝達が直接制御していることを明らかにしている。昨年度までに、植物は環境ストレス(特に、DNA損傷ストレス)を受けると、根の移行領域でサイトカイニン生合成遺伝子の発現を活性化させることで、内在性のサイトカイニン量を増加させることを見出している。さらに、サイトカイニン量の増加がCCS52A1遺伝子の発現を誘導することで、細胞分裂周期からエンドサイクルへの移行を促進していることを明らかにした。今年度は、根端での細胞分裂の促進に働くオーキシンとの関係を調べたところ、植物はDNA損傷ストレスを受けるとオーキシンシグナルが低下することを発見した。特に、オーキシンの輸送に関わる多くのPIN遺伝子群の発現が顕著に低下していることを見出した。さらに、オーキシンシグナルの低下には、根でのサイトカイニンシグナルの活性化が関与していることを明らかにした。これらの結果から、植物は環境ストレスを受けると、根でのサイトカイニンおよびオーキシンシグナルの活性を変化させることで、エンドサイクルへの移行を制御していることが考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物ホルモン(オーキシン、サイトカイニン)シグナルの活性変化させることにより、外部環境に合わせた植物のエンドサイクル制御を明らかにすることが出来たことから、本研究計画はスムーズに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
エンドサイクル制御には、オーキシンやサイトカイニン以外の植物ホルモンも関与していることが示唆されている。今後は、他の植物ホルモンにも注目し、エンドサイクルとの関係を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成27年度に、今までの結果を基に学会発表および論文発表を行う予定であったが、論文の修正に予定より時間がかかったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
学会発表および論文発表を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(4 results)