2016 Fiscal Year Annual Research Report
Minimal factors required for the evolution to adapt new light niche for photosynthetic organisms
Project/Area Number |
26840099
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
塚谷 祐介 東京工業大学, 地球生命研究所, 研究員 (10421843)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 光合成 / 色素 / バクテリオクロロフィル / 近赤外光 / 光合成細菌 / 生合成酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成の初期反応過程では、太陽の光エネルギーから生物が利用できる化学エネルギーへの変換が行われる。その中で、クロロフィルやバクテリオクロロフィルといった色素体は、光化学系タンパク質や光捕集タンパク質に結合し、電子伝達や光エネルギーの吸収・伝達といった実質的な反応を担っている。バクテリオクロロフィル(BChl)-bは、天然色素の中で最も長波長帯に吸収極大を持ち、唯一単量体として近赤外光領域の光を吸収できる点で特徴的であり、産業利用の点で注目されている。全ての光合成細菌に保存されているクロロフィリド酸化還元酵素(以下COR)という色素合成酵素は、BChl-a生産性細菌由来とBChl-b生産性細菌由来のものでは異なる基質特異性を示すことをこれまでに我々は明らかとしてきた。本研究課題はこれらの2つのタイプのCORについて反応特性を解明してBChl色素の生合成経路の全体像を解明すること、さらにはその知見を基にしてBChl-bの効率的産生を可能とする光合成細菌変異株の作製を目的としてきた。昨年度までに、CORの反応特性に関する知見を基に、遺伝子工学的な手法によりBChl-a を生産するモデル生物Rhodobacter sphaeroidesをBChl-b生産性に改変することに成功して、学術論文への発表および国際特許公開を達成してきた。本年度は、これまでのCOR研究によって明らかになったBChl色素生合成経路の分岐および経路全体像をまとめるため、総説およびBook Chapterの執筆に注力した。また、様々な色素中間体を準備してCORの基質特異性の詳細解析を継続している。CORの前後で機能する合成酵素の反応特性とも併せて続報を準備中である。
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