2014 Fiscal Year Research-status Report
環境による性決定遺伝子の発現調節メカニズムの解明―甲殻類ミジンコをモデルとして―
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26840105
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 泰彦 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60415932)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 性決定 / 幼若ホルモン受容体 MET / ゲノム編集技術 / RNA-Seq / オオミジンコ / dsx 遺伝子 / 幼若ホルモン / 「ゲノム支援」活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物の性決定の様式は、遺伝性決定と環境性決定に大きく分類される。私達は最近ミジンコの環境性決定の制御に、他の動物の遺伝性決定を制御する転写因子 DSX のオーソログが機能していることを発見し、遺伝子レベルでの性決定の普遍性を見いだした。また、環境の悪化を感知した個体が体内の幼若ホルモンのレベルを上昇させ dsx 遺伝子の発現を誘導していることを示唆する結果も得た。本研究では、2つの仮説を立て幼若ホルモンによる dsx 遺伝子の制御機構を解析する。 1つ目の仮説(仮説1)は、幼若ホルモン受容体である転写因子 MET が直接 dsx 遺伝子の発現を誘導しているというものである。仮説1を証明するために、タグ配列を付加した MET の ChIP 解析を行う。本年度は、タグを付加した MET を発現するトランスジェニックミジンコを作製するために必要なゲノム編集技術の基盤を整備した。これまでに TALEN 及び Crispr/Cas9 を利用した標的配列の二本鎖切断技術を確立し、ノックイン技術の開発にも成功した。 もう1つの仮説(仮説2)は、幼若ホルモンに dsx 以外の遺伝子が最初に応答し、その遺伝子産物が dsx 遺伝子を制御しているというものである。仮説2を証明するために、新学術領域研究「ゲノム支援」活動より支援をいただいて幼若ホルモン感受期から dsx 遺伝子が発現する時期までの経時的な遺伝子発現変化の RNA-Seq 解析を行い、性決定時期の幼若ホルモン応答遺伝子を探索する。本年度は、サンプル全てのシーケンスを終了し、データ解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「ゲノム支援」活動より援助をいただき、当初の研究計画を少し変更したが、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
タグ配列を付加した MET を発現するトランスジェニックミジンコをゲノム編集技術を利用して作製し、dsx 遺伝子に対して ChIP 解析を行う。 RNA-Seq データを解析し、性決定時期に発現が変動する幼若ホルモン応答遺伝子を抽出する。ノックダウンなどにより見出した幼若ホルモン応答遺伝子の遺伝子操作を行い dsx 遺伝子の制御因子であるか否かを明らかにする。
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Research Products
(6 results)