2015 Fiscal Year Research-status Report
細胞内共生成立の分子機構と細胞内共生の進化的意義の解明
Project/Area Number |
26840119
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
児玉 有紀 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (80582478)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ミドリゾウリムシ / クロレラ / 細胞内共生 / 相利共生 / 原生生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
繊毛虫のミドリゾウリムシは細胞内に数百個のクロレラを共生させている。ミドリゾウリムシとクロレラは相利共生の関係にあるが、まだそれぞれが単独での生活も可能であるため、細胞内共生研究のモデル材料とされている。本研究では、細胞生物学的および分子生物学的な手法を用いて、ミドリゾウリムシとその共生クロレラの細胞内共生の成立に必須なプロセスの分子機構を解明し、さらに生態学的な手法を用いて、細胞内共生の進化的意義を解明することを目的としている。今年度は以下を明らかにした。①細胞内共生に成功するクロレラは、宿主食胞に取り込まれた後、一時的にリソソーム消化酵素に対して耐性を示す。予め恒暗条件下で培養しておいたクロレラは細胞内の液胞の数が増加し、宿主食胞内での消化酵素耐性を失うことが明らかになった。②生きたクロレラは酸性の小胞であるアシドソームが融合した宿主食胞内の酸性化を遅らせることできるが、ボイルしたクロレラやラテックスビーズにはその働きは無いことが明らかになった。また、酸性オルガネラ内のpHによって蛍光強度が変化するLysoSensorTM Yellow/Blue DND-160を用いて、食胞膜とPV膜を識別できることが明らかになった。③ミドリゾウリムシの共生クロレラを宿主外で培養すると、定常期初期のクロレラは宿主リソソーム消化酵素による消化を免れるが、定常期のクロレラはその能力を失い、大部分が消化されることが明らかになった。④ミドリゾウリムシから50年以上前に単離され、宿主外で継代培養されてきた共生クロレラもミドリゾウリムシへの感染能力を維持していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書に記載した研究計画どおりに研究の遂行ができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書に記載した研究計画どおりに来年度も研究を遂行する。
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Causes of Carryover |
昨年度に購入する予定であった試薬を購入しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度に購入する予定であった試薬は今年度購入し、研究計画を遂行する。
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