2014 Fiscal Year Research-status Report
非光合成葉緑体の進化と機能多様性探索~比較ゲノムとプロテオームから
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26840123
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷藤 吾朗 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (70438480)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Cryptophytes / Nucleomorph / Plastid / Comparative Genomics / Reductive Evolution |
Outline of Annual Research Achievements |
光合成能力を失った葉緑体(白色体)の機能と、それらが進化学的にどのような経緯を経て光合能が失われたのか明らかにすることを目的としている。材料として、葉緑体の起源となった二次共生体の核(ヌクレオモルフ)を保持していながら、光合成能力を維持している種と失っている種が混在するクリプト藻類を用い、葉緑体ゲノムとヌクレオモルフゲノムの比較解析、さらにトランスクリプトームとプロテオームをから白色体の機能推定を目指している。 当初予定していた無色クリプト藻類は増殖速度が遅いことが判明したため、本種については少数細胞から抽出したDNA,およびcDNAを増幅し次世代シーケンサーを用いて塩基配列の解析を行った。また、本種は大量培養には向かないことから白色体単離は困難と判断し、解決策として新たに別な無色株を用意した。現在新たな株でもゲノム解析を行うと同時に、白色体単離のパイロット実験を続けている。さらに、比較対象とするための光合成クリプト藻類についても葉緑体とヌクレオモルフのゲノム配列を取得した。26年度の成果としては、独立して光合成能力を失った無色光合成クリプト藻類2株のトランスクリプトームと1株のゲノム配列、またそれらに近縁な光合成クリプト藻類1株のゲノムデータを取得した。今後は無色株残り1株についてゲノム配列の取得を行う予定である。現在は得られた塩基配列情報をアセンブリ後、まずは葉緑体ゲノムに焦点を絞り詳細なゲノム比較を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りゲノム解析が進んでいる。研究計画にはなかった無色株を追加したことにより、ゲノムデータについては計画よりも多くのデータを取得することが出来た。計画していた株は成長速度が遅かったため白色体の単離についてはまだ有効な方法を構築できていないが、新たな成長速度の速い株を用意できたためパイロット実験をすすめている。白色体単離も含め、スケジュール的に計画の遅延は生じていない。また、白色体単離が成功しなかったときのバックアップとしてトランスクリプトームを行う予定でいたが、これについてはH26年度に取得済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度に比較ゲノム解析に必要なデータは取得できた為、今後は計画通り比較解析を行う。H27年度は特に葉緑体ゲノムの比較に焦点を当てる。光合成を行う種と行わない種で、どのような遺伝子消失があったのか調査する。また独立に光合成能力を失った複数種のゲノムを解読した為、それらが同じ理由で光合成能力を失ったのかどうか、コードされる遺伝子とゲノムシンテニーを比較し葉緑体ゲノムの側面から明らかにする。 白色体タンパク質の解析については、H26年度に培養株を確立することが出来たので、引き続き白色体単離の方策についてパイロット実験を行い、H27年度中にめどをつける。
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Causes of Carryover |
試薬の納期に遅延があったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定通り使用する。
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Research Products
(1 results)