2014 Fiscal Year Research-status Report
地球規模の真の種組成の解明を目指して:“汎存種”紅藻のゲノム形態学的解析
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26840125
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鈴木 雅大 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 研究員 (30637088)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 次世代シーケンサ / 国際情報交換 / 分類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
実施計画の1つであるタイプ標本からのDNA抽出と次世代シーケンサを用いた解析を実施した。北海道大学総合博物館から,タイプ産地では絶滅種となっている汎存種紅藻ヨゴレコナハダの89年前に作製されたトポタイプ標本を借り受け,DNA抽出を行った。抽出したDNAは,断片化のチェックと,長さ150 bpに設計したspecific primersを用いてPCR法を行い,増幅の確認とTAクローニングとサンガー法シーケンスにより,配列を決定し,抽出したDNAが確かなものであることを確認した。抽出したDNAは,古標本のDNA解析に実績のあるIllumina MiSeqを用いて解析した。得られたreadsとアッセンブルして得たcontigsを用いて,各種遺伝子配列の決定を試み,核,色素体,ミトコンドリアにコードされる遺伝子の内,紅藻類の系統解析で用いられたことのある14遺伝子を決定した。得られた配列の比較及び系統解析に基づき,ヨゴレコナハダの分類を整理し,新属を提唱した(鈴木ら 2015 日本藻類学会 学会発表)。海藻の絶滅種のタイプ標本からのDNA抽出及び遺伝子配列の決定・解析及び,分類学的検討は初の試みであり,現在論文を執筆中である。 北海道,岩手県,関東周辺,佐渡島,兵庫県,三重県,愛媛県から,汎存種紅藻ワツナギソウ,ベニスナゴ,ダルスを蒐集し,形態観察と,上述の方法で決定した配列に基づいて新たに設計したprimersを用いて,遺伝子の配列を決定した。同様に海外のサンプルについて,アイルランド,イタリア,南アフリカ,チリからサンプルを入手し,形態観察と遺伝子の配列を決定し,国内と海外のサンプルを合わせて系統解析を実施した。ワツナギソウとベニスナゴについてはタイプ産地のサンプル情報を得られたことから,タイプ法に基づいて日本産種を整理し,それぞれ論文を準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の鍵であった,タイプ標本からのDNA抽出と,次世代シーケンサを用いた遺伝子の配列決定法を確立し,これまで分類出来なかった種・属を整理した。 汎存種紅藻ワツナギソウ,ダルス,ベニスナゴについて,国内のサンプルは,概ね入手し,観察と系統解析を終えた。海外のサンプルは,アイルランド,南アフリカ,イタリア,チリの研究者からのサンプルと情報提供を受け,ワツナギソウとベニスナゴについては,タイプ産地のサンプル情報を入手した。現在入手した海外サンプルは目的のおよそ7割である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の達成には,海外から入手したサンプルについての観察,DNA抽出と遺伝子の配列決定,系統解析が必要である。今後は入手予定のサンプルを揃えることと,入手済のサンプルについての観察・実験を行う予定である。入手出来ていないサンプルは,引き続き海外の研究者との連携と,タイプ産地での採集を実施する予定である。
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Research Products
(1 results)