2016 Fiscal Year Annual Research Report
Lateral line system in fast and slow swim fishes: do fast swim fishes have small number of neuromasts?
Project/Area Number |
26840132
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
中江 雅典 独立行政法人国立科学博物館, 動物研究部, 研究員 (30462807)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 側線 / 環境適応 / クロマグロ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度の研究により,高速遊泳魚であるアジ科ブリに加え,様々な環境に生息する魚類として,サケ科,テンジクダイ科,アジ科,ハタ科など,計34種(追加の再観察12種含む)において側線の詳細な観察を行った.研究当初の目標は様々な環境に生息する50種の観察であったが,約70種(7目19科40属)の観察となり,当初の予定よりも幅広い検討が可能となった.また,他の研究や文献等のデータを加え,16目53科107属170種以上の種の側線系と比較したところ,現時点で以下の結論が得られている. 高速遊泳魚であるサバ科マサバ,サワラ,クロマグロおよびアジ科ブリの側線系では,感丘の総数や基本的な配置について,特別な傾向は認められず,アジ科,メバル科やスズメダイ科の側線と大枠で類似していた.一方,管器感丘のサイズに関しては,テンジクダイ科やスズキ科の魚類よりも相対的に小形である.小形の管器感丘は,頭部側線管や躯幹部の側線管(側線鱗の管)の細さに因ると考えられた.ただし,非高速遊泳魚の側線管において,分類群を超えて太い傾向があるとは全く言えない. 一方,同じ科や同じ属内の種を比較すると,遊泳能力や生息環境の流速と側線系の特徴(感丘数・感丘サイズ)において,収斂が見られると考えることが妥当なケースも見受けられる. 以上のことから,「高速遊泳魚の側線系は退化傾向にあるか」という“定説”の検証結果は「高速遊泳魚の側線系は,系統類縁関係を超えて,収斂・退化傾向にあるとは言えない」とすることが妥当であるとの結論に至った.
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