2014 Fiscal Year Research-status Report
アルベオラータ下界ミゾゾア門内の初期分岐系統に関する分類学的研究
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26840133
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
矢吹 彬憲 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋生物多様性研究分野, 研究員 (20711104)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | プロトアルベオラータ / アピコモナス / 系統分類 / 多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が行ったサンプリングと所属研究機関における活動で得られた水・底泥等を用いて、複数条件下で集積培養を行った。出現した原生生物を光学顕微鏡下で観察し、プロトアルベオラータ類・アピコモナス類と期待される原生生物について単離を行い培養株の確立を行った。またこれまでの研究活動の中で既に培養株として確立されていた原生生物についても系統分類学的な研究を進めた。 平成26年度に行った集積培養サンプルから、24株の原生生物培養株を確立することに成功した。これらについては、現在形態観察を進めると同時に系統的位置の検証を行っている。 過去に確立した培養株を用いた研究としては、YPF1303株についてその系統的位置を詳細に解析した。YPF1303株は詳細な形態観察の結果をもとに、Hemistasia phaeocysticolaと同定された。本種は1900年に現在プロトアルベオラートのメンバーとして扱われているOxyrrhis属の一種として記載されたが、長い間その系統学的位置は不明なままであった。今回行った18S rRNA遺伝子を用いた解析から、本種はディプロネマ綱に属する鞭毛虫でであることが示された。本成果と本成果をもとに行った分類学的な組み替えを報告する原著論文がJournal of Eukaryotic Microbiologyに受理され公開された。 これらの成果によって、他のプロトアルベオラータ類・アピコモナス類への帰属が示唆されている原生生物についも、詳細にその系統的位置・分類学的位置を再検証していくことの重要性があらためて認識された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロトアルベオラータのメンバーとして記載されたHemistasia phaeocysticolaの系統的位置を検証し、所属分類群の組み替えの提唱を含む原著論文が受理・公開されたため。 新たに24株の原生生物培養株の確立に成功し、現在確立した株を用いた系統的位置の推定を進めているため。また、効率的なサンプリングと培養株の確立を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
設置可能な人工気象器を購入し、これまでに確立した系に組み込むことで更に効率的な培養株の確立を目指す。また得られた培養株を用いた分子生物学的研究と形態観察を遂行する。得られた情報をもとにミゾゾア門内における分類体系の再整理を進める。
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Causes of Carryover |
平成26年4月に所属研究機関における組織改編と実験スペースの再配分によって、設置スペースの問題から購入予定であった人工気象器を変更する必要が生じ、その選定に時間を要したため。平成26年度は、既存の人工気象器(経過年数が長く、複数温度設定が出来ないなど機能的制限があるもの)を他の研究者と共同で利用した。 また、所属機関の業務で得られた試料の一部を本研究課題の遂行に利用可能であったため、予定していたサンプリングを次年度に計画し直したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人工気象器の購入と、予定している国内2箇所でのサンプリングの経費に充てる。
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Research Products
(4 results)