2014 Fiscal Year Research-status Report
サケ科魚類の回遊多型における遺伝的基盤と進化的起源
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26840136
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小泉 逸郎 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (50572799)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生活史多型 / 表現型可塑性 / 進化 / 遺伝的基盤 / サケ科魚類 / 回遊型 / 残留型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、動物界の中でも最も顕著な表現型多型を示すサケ科魚類を用いて、回遊多型の遺伝的基盤と進化的起源を明らかにする。サケ科魚類の中には一生を産まれた河川で過ごす小型の残留型と海や湖に降りて大型化する回遊型が存在する。残留と回遊の分岐には環境と遺伝の両要因が効いているが、それに関連する遺伝子群はほとんど分かっていない。本研究では複数のサケ科個体群でゲノムワイド関連解析を行い、回遊に関わる遺伝子の数や影響力を評価し、サケ科の回遊における平行進化の遺伝的メカニズムを解明する。
平成26年度は複数の種/個体群からのサンプリングと次世代シーケンサーを用いたゲノムワイド関連解析の予備実験を行った。サクラマス(ヤマメ)は北海道内の10河川から降海オス約200個体、残留オス約200個体を捕獲した。アメマス(エゾイワナ)は函館近郊の汐泊川から降海オス約50個体、残留オス約200個体、降海メス約100個体、残留メス約150個体を捕獲した。持ち帰ったアブラビレ組織からDNAを抽出し、その中からサクラマス4個体群96個体(降海オス48個体、残留オス48個体)についてはRADシーケンスを行った。
RAD解析の結果、サクラマス96個体全てにおいてゲノム全域から約480万塩基サイトのシーケンスを読むことができた。しかし、降海型と残留型の遺伝的変異を調べるための関連分析を行ったところ、両者を区別できる遺伝子領域はわずか1つのみであり効果もそれほど強くなかった。サクラマスに近縁のニジマスで行われた先行研究では降海型と残留型を区別する非常に明瞭な遺伝子領域が見つかっている。まだ本結果は予備的なものであるが、もし本当に降海型と残留型を決定する遺伝子がない(効果が弱い)のであれば、両種は異なる遺伝的基盤を用いて降海/残留の表現型多型を達成している可能性がある。今後、サンプル数を増やして更なる追求を進めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
降海型オスのサンプル数を集めるのはしばしば大変であるが、何とか必用最小限の個体数を集めることができた。また、結果はそれほどポジティブなものではないが、RAD解析がしかりと行えたのは大きな成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
ニジマスの先行研究を基準に考えていたため、もう少し明瞭な結果が得られると想定した。しかし、実際は降海型と残留型に関係している遺伝子の効果は弱いようなので、その分、サンプル数を多く稼ぐ必要がある。当初は、サクラマス、アメマス、オショロコマの3種での解析を考えていたが、サクラマスを中心に進めていくべきだと考えている。
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Causes of Carryover |
次世代シーケンサーの予備解析を行ったところ、予想していたよりも明瞭な結果が得られなかった。したがって、今後の方針や解析するサンプルを再検討していたため、残りの解析を遅らせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後の解析方針が決まったため、残りのサンプルを次世代シーケンサーにかける。使用項目、最終解析サンプル数自体は当初の予定と変わらない。
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Research Products
(1 results)