2015 Fiscal Year Research-status Report
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26840140
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
富松 裕 山形大学, 理学部, 准教授 (40555398)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | オオバナノエンレイソウ / 個体群動態 / 適応度 / 遺伝的多様性 |
Outline of Annual Research Achievements |
オオバナノエンレイソウを対象として行った昨年度の調査では、中緯度(石狩地方)で最も生育密度が高く、分布南限(秋田、岩手)で最も低いこと、複数の適応度成分が緯度勾配に沿った地理的変異を示すことが明らかとなった。しかし、特定の個体群だけが異なる挙動を示す場合もあり、さらに多くの個体群を対象とした調査が必要だと考えられた。そこで本年度は、昨年度よりも多くの個体群を用いて、緯度勾配に沿った適応度成分のパターンの再検討を行った。その結果、分布南限に近い低緯度の個体群ほど、個体サイズが小さくなる傾向が見られた。また、大型動物による被食圧が高かった個体群を除くと、低緯度の個体群ほど種子生産量が少なかった。幼植物の加入率と種子重量は中緯度で最大となり、低緯度もしくは高緯度になるにつれて小さくなった。さらに、分布域の中心と南限の5個体群においてマイクロサテライト遺伝子座を用いた遺伝解析を行ったところ、分布域の南限では遺伝的多様性が低いこと、近交弱勢が小さい傾向があることが分かった。この結果に関しては、さらに多くの個体群や遺伝子座を用いて検証を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調に進んでいるが、当初の計画と比べて遺伝解析がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画にしたがって野外調査や遺伝解析を行い、すべての結果に基づいて分布域の決定要因について総合的に考察する。
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Causes of Carryover |
遺伝解析が遅れているため、試薬類を購入するための予算を中心として一部を次年度使用することとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遺伝解析用の試薬類の購入に充てる予定である。
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