2017 Fiscal Year Annual Research Report
Gardening by net-spinning caddisflies: the effect of ecosystem engineers on microbial communities
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26840146
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡野 淳一 京都大学, 生態学研究センター, 研究員 (20547327)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | トビケラ / 巣作り行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、トビケラが作る巣に、微生物を栽培する機能があること(農耕仮説)を実証し、巣によって微生物の群集構造にどのような影響があるかを調べることを目的としていた。その調査過程で、トビケラの巣の形質には集団内における遺伝的多型があることが示唆され、さらに多型の幅も地域によって異なっていることが分かった。また、多型は一遺伝子座によって支配的に決定されている可能性も示唆された。室内飼育実験の結果、トビケラ幼虫間の共食いの直接的・間接的影響のバランスによって多型の幅が規定されている可能性が示唆された。 種内の遺伝的多型は多様性の最も単純な例であり、理論的にも実証的にも研究が盛んに行われてきた。現在では、負の頻度依存選択が多型を維持する最も強い維持機構であると考えられている。本研究による一連の発見は、これまでしられていなかった負の頻度依存選択以外の多型維持機構を示している可能性があり、大きな成果である。また近年の分子研究では、様々な分類群で見られる多型形質が一遺伝子座で決定されることが分かってきている。本研究では、動物の巣作り行動という、一見複雑に見える行動形質が単一遺伝子で決定されている可能性を示しており、今後のさらなる研究発展が見込める結果を得ることができた。 最終年度はこれらの結果を取りまとめ、査読付国際誌に3報掲載され、2報が査読中となっている。
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Research Products
(3 results)