2014 Fiscal Year Research-status Report
メタ個体群における協力関係の進化・維持機構の実験的解析
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26840147
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
門脇 浩明 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 研究員 (30643548)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 協力関係 / メタ個体群 |
Outline of Annual Research Achievements |
協力関係の進化・維持機構を明らかにするため、初年度である本年度は、緑膿菌CHAO系統を活用した実験系の確立と予備実験、数理的モデリングについて研究を進めた。はじめに、ミクロコズム実験系を確立するため、細菌を培養するための培地となるBSA(アルブミン)-OS培地の最適濃度条件、ならびに培養温度条件を探索するための予備実験を行った。次に、協力者と非協力者の混合集団から一部を採取し、それぞれの相対的個体群密度を目視により定量化する技術を習得した。今後進める進化実験では細菌の移動分散率を操作する必要があるため、複雑なピペット操作を図式化したプロトコルを作成した。さらに、予備的に短期間の進化実験を行い、一定時間後に、協力者集団の中から非協力者が進化することを確認できた。これらの一連の予備実験により、ミクロコズムにおいて細菌が移動分散を繰り返しながら進化するための実験設計を実装することができたと考える。初年度は、これらの予備実験と平行して、数理的なモデリングも進めている。協力関係の数理モデリングでは、共同研究者とともに、これまで生態学的理論において活用されてきたパッチ動態モデル(空間的に分断された環境におけるメタ個体群の動態モデル)を改良し、協力関係が維持される条件を解析的に特定することができた。今後は、実験データと理論のフィードバックを重ねることで、協力関係が維持されるための空間構造の条件を実証することが最も重要な課題であると捉えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進化実験を行うための予備実験がほぼ完了し、数理モデリングの研究からは成果が得られつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、メタ個体群における進化実験を遂行し、得られた結果を数理モデリングの結果と比較・吟味し、協力関係が維持されるための空間構造の条件を明らかにすることが課題であると捉えている。
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Causes of Carryover |
海外研究者との意見交換、および学会参加を次年度に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
オランダのアムステルダム大学およびユトレヒト大学の研究者との意見交換、およびマーストリヒトでのヨーロッパ微生物学会の参加費用などに使用する計画である。
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