2014 Fiscal Year Research-status Report
植物と送粉者共生系における種特異性の決定要因の解明
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26840154
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
岡本 朋子 独立行政法人森林総合研究所, 森林昆虫研究領域, 特別研究員(PD) (50588150)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 送粉 / 種特異性 / 寄主認識 / 食草決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、一部の昆虫が生涯で1種類の植物のみを食べる原因を明らかにすることを目的としている。生物同士の共生関係の中には、1種対1種の極めて高い特異性を示すものがいる。特に、昆虫の中には限られた植物だけを食べるものが多く知られているが、このような特異性は、植物が作り出す防衛形質(毒やかたさ)とそれを打破できるかどうかが重要であると考えられている。しかしながら、同じ植食性昆虫の中でも、花粉を運ぶことで植物と相利共生関係を結ぶ昆虫においては、なぜ特定の植物しか食べないのか?についてはほとんど解明されていない。 そこで、本研究では、カンコノキとハナホソガの送粉共生系を題材として、1種対1種の高い種特異性がもたらされる原因の解明を目指す。 本年度(平成26年4月1日から平成27年3月31日)は、(1)室内実験系の確立および (2)ハナホソガの寄主認識メカニズムの解明の2つを軸に実験を行った。まず、ハナホソガを寄主植物以外で飼育することを目指し、ハナホソガの室内における飼育および、植物の移植・栽培を行った。その結果、樹種によって移植成功の条件が異なることが明らかとなり、適した環境での栽培が可能になった。続いて、ハナホソガの寄主認識メカニズムを明らかにするため、ハンホソガの触角に様々な花の匂いを提示し、電位反応を検出することで、キーとなる匂い物質の選別を行った。その結果、匂い物質の中でもごく一部の匂い物質だけを用いて寄主を認識していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目的通り、実験系の確立やハナホソガの電気生理実験などが遂行できた。よって研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の予定通り、室内におけるハナホソガの寄主乗り換え実験および、ハナホソガを用いた行動実験を軸に研究を進めて行く予定である。本研究では、実験室下での累代飼育方法が確立していない昆虫を用いて研究を行っているため、実験を行うには自生地で採集する必要がある。また、昆虫の発生には天候の影響を受けるため、臨機応変に対応する必要がある。
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