2016 Fiscal Year Research-status Report
fMRIを用いた生理的多型性に基づく養育行動の神経基盤に関する研究
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26840160
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
則内 まどか 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 客員研究員 (20571897)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | fMRI / 養育行動 / 脳機能 / 親子 / 育児 / 幼児 |
Outline of Annual Research Achievements |
親という個体や集団の特性と養育行動に関する脳機能の関係性や、育児ストレスに対する親の機能的潜在性がどのように表現されるかは、生理的多型性に基づく人間の適応性を多面的にみる点で重要な課題である。本研究の目的は、健常な2-3歳児をもつ養育者を対象に、子どもの摂食場面に対する親の脳活動を機能的磁気共鳴画像(fMRI)で計測し、個体間の特性や育児ストレスなどの評価との関連性および集団間の共通/差異部分を明らかにすることである。本年度は、被験者の募集、刺激動画の作成を行い、fMRI実験および質問紙調査を開始した。また、親子関係や子どもの養育環境について国内の学術集会を中心に情報収集を行った。具体的内容を以下に記す。 1.刺激画像作成:子どもがスナックを食べる場面を撮影し、30秒の 動画に編集した。 2.質問紙:被験者の健康状態についてGeneral Health Questionnaire 28 (GHQ28)、不安特性・状態についてState-Trait Anxiety Inventory (STAI)、日常生活で感じる育児ストレスについてJapanese version of the Parental Stress Index (PSI)をfMRI実験の前または後に回答してもらった。 3.fMRI実験:自分の子どもと見知らぬ子どもの動画をランダムに表示するブロックデザインを用い、実験を行った。 4.情報収集:心理・発達・生理・神経など幅広い分野での情報収集を行った。育児に欠かせない共感性や意思決定などの認知神経機構に対象者や状況によるバイアスが大きく影響していることや、ハード面や子どもの特性、支援者と養育者の役割など養育環境をとりまく複雑な要因を再認した。養育行動の神経基盤をテーマにした本研究課題であるが、科学的根拠を明確に示すと同時に生活上の複雑な要因を考慮する必要性を痛感した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験を開始し、現在のところ大きな問題もなく遂行できている。また、幅広い分野の学術集会に出席し、情報収集や意見交換を行えたことは、本研究課題の重要性を再認するとともにデータ解析や成果をまとめるうえで大いに考慮すべき視点を意識することとなった。従って本研究課題は、現在までおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 引き続き被験者募集を行い、fMRI実験を行う。また、収集した脳画像データおよび質問紙データを本研究課題の目的に沿って効果的に処理できるよう、解析方法を検討する。さらに、幅広い分野で国内外の学術会議に出席し、広く情報収集や意見交換を行う予定である。
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Causes of Carryover |
28年度に購入を計画していたデータ解析や可視化に要するソフトに関し、現段階では所属機関内で使用可能なソフトで遂行したため、当該分の費用について未使用分が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度に計画している国内外の学術会議などの情報収集にかかる旅費に使用する。また次年度以降に推進していくデータ解析や解析結果の可視化、データ管理などに必要なソフトの購入、成果の公表にかかる費用として次年度使用額と翌年度の請求額を合わせて使用する。
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Research Products
(4 results)