2014 Fiscal Year Research-status Report
TALEN法によるオオムギの標的遺伝子への変異挿入
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26850004
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
久野 裕 岡山大学, その他部局等, 助教 (70415454)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 植物分子育種 / オオムギ / 形質転換 / ゲノム編集 / TALEN |
Outline of Annual Research Achievements |
【アントシアニン合成酵素遺伝子を標的とするTALENの構築とオオムギへの導入】 アントシアニン合成に関与するCHS遺伝子ならびにDFR遺伝子を標的として、それぞれ4組ならびに3組のTALEN遺伝子を構築した(CHS-TALならびにDFR-TAL)。それらのTALEN遺伝子ペアを、オオムギ由来ユビキチンプロモーターによって両遺伝子を同時に発現できるバイナリベクターpPZP2-HvUbi12に挿入した。これらをアグロバクテリウム法によって形質転換可能なオオムギ品種「Golden Promise」に導入した。その結果、61のCHS-TAL導入個体ならびに14のDFR-TAL導入個体を作製することができた。しかしながら、いずれの個体においても標的遺伝子に変異を挿入できなかった。 【カルス特異的プロモーターの単離】 上記個体において変異挿入に至らなかった理由の一つとして、ユビキチンプロモーターによるTALEN発現が適当ではない可能性がある。それを克服するために、カルス誘導型の遺伝子発現領域の単離を試みた。マイクロアレイ解析によって見いだされた、オオムギカルスで高発現する遺伝子を抽出し、そのプロモーター領域とターミネーター領域をクローニングした。これまでに、3つのカルス誘導遺伝子のプロモーター領域と2つのターミネーターをクローニングできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
変異挿入に至らなかったものの、オオムギ遺伝子を標的とするTALENsを複数構築し、それらをオオムギに導入することができている。作製した形質転換個体(CHS-TALあるいはDFR-TAL導入個体)の後代種子を得ているため、再カルス誘導による変異挿入など、次年度の研究に展開できる材料は揃った。また、オオムギゲノム編集用のベクター作製の一部であるプロモーターの単離も着実に進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
一般的に、カルスの状態(脱分化時)においてTALENの活性が高まると言われている。そのため、本年度に作製したCHS-TALならびにDFR-TAL導入個体から未熟胚を抽出し再度脱分化して変異挿入を誘導することを試みる。また、CHSやDFRの別の遺伝子領域標的とした新たなTALENを設計することやCHIなどの他のアントシアニン合成系遺伝子を標的とするTALENの設計も試みる。一方で、本年度クローニングしたカルス特異的遺伝子発現領域の評価を行う。それらの活性が確認でき次第、新たに構築するTALENベクターに利用する。
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