2014 Fiscal Year Research-status Report
水稲胚乳における核内倍加の変動と組織発達の関連性の解明
Project/Area Number |
26850010
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小林 英和 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 近畿中国四国農業研究センター水田作研究領域, 主任研究員 (60360450)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 水稲 / 胚乳 / 核内倍加 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
イネ科植物の胚乳細胞では、有糸分裂を伴わずに核DNAが複製される「核内倍加」という現象が行われる。本研究では、水稲胚乳組織の発達における核内倍加の効果を明らかにすることを目的としており、平成26年度は、1. 水稲胚乳組織における核内倍加の時間的・空間的進行過程、2. 核内倍加の品種間差、3. 気温および窒素栄養状態が核内倍加に及ぼす影響の3点について検討を行った。 1. に関しては、水稲胚乳組織では核内倍加は開花後5日目頃には検出されること、および、胚乳の中心部および周縁部よりも、その中間部分で核内倍加程度が高いことを明らかにした。このうち、空間分布に関しては、他のイネ科植物の胚乳組織とは大きく異なっており、水稲胚乳組織では核内倍加の進行が独特であると考えられた。 2. に関しては水稲胚乳組織の核内倍加には品種間差が認められ、インド型品種で日本型品種よりも核内倍加程度が高い可能性が示された。 3. に関しては、出穂前の追肥により核内倍加程度は上昇し、登熟期の高温により核内倍加程度は低下する傾向が認められ、水稲胚乳組織の核内倍加が環境条件による影響を受ける可能性が示唆された。 これら2. および3. で得られた成果は、水稲胚乳組織の核内倍加が遺伝的・後天的に制御されていることを示しており、米の発育に核内倍加が影響を及ぼしている可能性を示すものである。現在、2. および3. で調査を行った米について、その形態や内部構造の調査を行っており、その結果と核内倍加の結果を比較することにより、核内倍加の変動が米の発育にどのような影響を及ぼしているかを検討していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
いずれの試験に関しても順調に進んでおり、平成27年度も同様の試験が実施できれば、研究目的が達成されるものと考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
水稲胚乳組織における核内倍加の品種間差および後天的な変動を明らかにするため、上記2. および3. の試験を再度実施する。試験結果の解析が終わり次第、とりまとめを行い、原著論文として投稿する。
|
Causes of Carryover |
当初、学会発表を想定していた内容を論文として投稿したことから、当該年度の旅費が減額となった。また、当該論文の掲載・発行に要する経費が次年度必要となることから、当該年度の使用額を抑制し、次年度に回すこととした。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は論文掲載・発行に要する経費として主に利用し、翌年分として請求した助成金は当初の予定通り使用する予定である。
|