2014 Fiscal Year Research-status Report
内在性プロモーターの機能改変による良着色赤果肉リンゴ品種作出に向けた基盤研究
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26850015
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田垣 駿吾 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (50597789)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 果実発育・成熟 / 赤果肉リンゴ / ウイルスベクター / プロモーター解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、内在性プロモーターを自己活性型へと機能改変することにより、リンゴ赤果肉形質原因遺伝子が安定的に高発現する良着色赤果肉リンゴを育成することである。申請者らはこれまでにII型赤果肉形質の原因遺伝子MdMYB110aの単離と機能解析を進めてきた。本研究ではMdMYB110a転写因子が結合するモチーフ配列を同定した後、MdMYB110aプロモーターへモチーフ配列を付加することで自己活性型への機能改変を目指す。 当該年度はMycタグ付きのMdMYB110aタンパク質を異所発現するApple latent sperical virusベクター(以下、ALSV:Myc-MdMYB110a)の作出し、リンゴ'王林'果実中の種子に由来する実生に機械接種を行った結果、組換えALSV接種個体は葉が赤色を呈することを見出した。さらに、アントシアニン生合成経路の下流に位置するLDOX遺伝子のプロモーター領域の単離を完了し、ALSV:Myc-MdMYB110a接種個体の感染葉を用いたクロマチン免疫沈降法によるMdMYB110a結合DNA領域の探索を実施中である。また、クロマチン免疫沈降法による転写因子結合領域の絞り込みに時間が掛かっていることから、無細胞タンパク質翻訳系を用いたタンパク質-核酸結合実験を行うため、LDOX以外の各種アントシアニン生合成酵素遺伝子についてもプロモーター領域の単離を進めている。なお、自己活性型プロモーターの基となる機能性MdMYB110a遺伝子のプロモーター領域の単離も完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも記入した通り、クロマチン免疫沈降法が難航しており、MdMYB110a転写因子の結合領域の同定に至っておらず、当初の計画からの遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
組換えALSVより異所発現させたMdMYB110aに対するクロマチン免疫沈降法を引き続き行い、転写因子のDNA結合領域を明らかにする。また、並行して無細胞翻訳系を用いたタンパク質-DNAの結合実験によるMdMYB110aのDNA結合領域の同定を進めるため、アントシアニン生合成経路遺伝子群の発現様式が異なる2種類のII型赤果肉リンゴより各種のアントシアニン生合成経路遺伝子のプロモーター領域を単離し、転写因子との結合強度を比較する。 上記2種類の実験のどちらかの結果をもって、ゲルシフトアッセイによる詳細なMdMYB110aのDNA結合モチーフの同定を行う。
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Causes of Carryover |
ALSVベクターを介して異所発現させたタンパク質を用いたクロマチン免疫沈降法の解析に遅れが出ており、当該年度に行うことを想定していた幾つかの実験を行うことが出来なかった。そのため、主に物品費から次年度使用額が生じることとなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、追加での解析を予定している無細胞タンパク質合成系を用いたハイスループットタンパク質-DNA結合試験の実施に充てる。
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