2014 Fiscal Year Research-status Report
ウイルスベクターを用いたバラ科サクラ属果樹の遺伝子機能評価系の開発
Project/Area Number |
26850016
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河井 崇 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (90721134)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 果樹 / サクラ属 / ウイルスベクター / ジーンサイレンシング / 遺伝子機能評価 / 開花促進 |
Outline of Annual Research Achievements |
主要果樹種を多く含むバラ科サクラ属果樹では,これまで全ゲノム配列解読をはじめとする遺伝子研究が精力的に進められてきた.しかしながら,遺伝子機能を評価する有効な手法が確立されていないため,得られた成果を果樹栽培・育種に十分に活用できていないのが現状である.そこで本研究では,リンゴ小球形潜在ウイルス (ALSV) ベクターを用いたサクラ属果樹の新たな遺伝子機能評価系を確立し,基礎研究で蓄積されたゲノム情報を広く果樹栽培・育種へ有効活用することを目的として研究を進めている.さらに,開発された系を応用して花成関連遺伝子の発現制御を行い,サクラ属果樹の開花促進技術の開発を目指す.本年度は,本研究を遂行する上で基礎となる「遺伝子機能評価系の開発・評価」を行った. まず,主要なサクラ属果樹7種を供試し,ALSVによるウイルス誘導性ジーンサイレンシング (VIGS) の有効性を調査した.サイレンシングの対象遺伝子にはフィトエン不飽和化酵素を用い,ウイルス接種は遺伝子銃を用いて行った.その結果,アンズ,カンカオウトウ,アーモンドの3種においてALSVの感染および対象遺伝子のサイレンシングによる形質変化が確認された.RT-PCRおよびティッシュブロット分析によりウイルスの分布を調査するとともに,リアルタイムRT-PCRにより対象遺伝子およびウイルスのRNA量を定量して,これらのサクラ属果樹種におけるVIGSの有効性を確認した.一方,ALSVの感染により病徴を示す種や,ALSVの接種に成功していない種も存在することから,サクラ属果樹の中でも種によってALSVの利用が制限される可能性が示唆された.現在,開花促進への応用に向けてベクター構築を進めるとともに,より効率的な接種法を検討している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,多様なサクラ属果樹の種を対象に,基礎的な遺伝子機能評価系を確立することを目的として研究を行った.遺伝子銃を用いて様々なサクラ属果樹にALSVの接種を行った結果,数種のサクラ属果樹において内生遺伝子のVIGS誘導に成功した.しかしながら,遺伝子銃を用いた接種法は接種効率が低く,当初計画していた「様々な器官へのALSVの接種」および「VIGSに適した生育条件」に関しては十分に検討することができなかった.これらの理由から,やや遅れていると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は遺伝子銃による接種効率の向上を最優先の課題として研究を進める.具体的には,ウイルスの増幅効率が高い植物を用いてALSVを増幅し,精製・濃縮を行った上で接種を行う.また,開花促進に向けたベクター構築は先行して進めることができているため,本年度の研究でALSVの接種に成功した種については,接種法の改善・評価と並行して早期開花誘導に取り組む.
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Causes of Carryover |
ベクター構築については当初計画より順調に進めることができたため,試薬類・器具類の消耗品費やその他の解析費を低く抑えることができた.また,研究の進捗状況を考慮して,本年度に計画していた研究内容の一部を次年度も実施するよう計画変更したため,本年度の助成金の一部を繰り越した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
「開花促進技術の開発」および「効率的な接種法の確立」に必要な試薬類・器具類の消耗品費,その他解析費に使用する予定である.
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