2014 Fiscal Year Research-status Report
キク属野生種を用いた遺伝解析基盤の構築と花序形態の分子遺伝学研究
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26850018
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中野 道治 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40705159)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 野生ギク / 二倍体 / マッピング / 分枝性 |
Outline of Annual Research Achievements |
キク属は産業上、最も重要な花きであり多様な特性が認められるが、最大で十倍体に至る高次倍数性、一般に自家不和合性であることが障害となり重要形質に関する遺伝学的な知見は少ない。我々はこれまでに二倍体のキクタニギク集団から安定的な自家和合性を示す系統を単離しており、本研究では、この自家和合性系統を利用してキク属の遺伝解析基盤を構築すると共に、花序形態を中心とした分子遺伝学研究を行う。 花序の形態は観賞価値に関わる重要形質であり、その分子遺伝学機構の解明は栽培ギクの品種改良に貢献する。二倍体の野生ギクにおいて、キクタニギクは散房的な花序を持ち、リュウノウギクは単生的な花序を形成する。これらの交雑に由来する系統では花序の形態が分離する傾向が認められたことから、分離集団を育成して表現型分離を調査した。リュウノウギク×キクタニギク自家和合性系統の交雑に由来するF1系統では散房的な形態を示したことから、このF1系統にリュウノウギクを戻し交雑した分離集団では散房性と単生性が分離すると期待された。この戻し交雑集団を用いて分枝性の遺伝分離を調べたところ、散房性、単生性が正確に判別できない系統が多く出現し、複雑な遺伝的制御が関与する可能性が考えられたが表現型分離が認められたことから、分離集団の内24系統より得たDNAを用いてRAD-seq解析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リュウノウギクとキクタニギク間の交雑に由来するリュウノウギク戻し交雑集団を用いて分枝性の評価を行うと共にRAD-seq解析を開始した。計画当初ではRAPD等の優性マーカーを用いた解析を予定していたが、予定よりも早くRAD-seq解析を行なえる見込みが立ったことから、計画を変更してRAD-seq解析を優先させている。今年度は分離集団の内24系統を用いて解析を始めたが、この結果を元に次年度以降に用いる解析手法を検討する。またDNAマーカーとしては既報のSSRマーカーをテストしたところ多型性が高く有効であったことから、RAPDマーカーではなくSSRマーカーを用いた手法に変更を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に開始したRAD-seq解析では、両親系統を用いてカバー率の最適値について検討中である。データ解析では、分離集団での多型性と最適なカバー率を元にRAD-seq解析が有効であると判断された場合には、解析に用いる系統を増加させて連鎖地図構築と形質マッピングを進める。リュウノウギク×キクタニギク自家和合性系統のF1系統の系統間交雑に由来するF2世代では自家和合性が分離し自殖可能な系統が出現しF3集団を展開できる。このF3集団が3集団得られたことから、F3集団における明確な遺伝分離を期待して新たな集団として追加し、解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
当初計画していた物品費について、大半をPCR用試薬に使用することを想定していたが、RAD-seq解析の結果を待って手法を検討すること、使用する分離集団を再検討することとし計画していた多型解析を進めなかったため、次年度へ繰越しての変更とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RAD-seq解析及びSSRマーカーを用いたDNAマーカー解析のための試薬類の購入に使用する。
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Research Products
(1 results)