2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of elevated temperature on a paddy soil N fertility
Project/Area Number |
26850035
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
八島 未和 (松島未和) 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 講師 (60527927)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 窒素無機化 / 炭素無機化 / 高濃度二酸化炭素 / 肥沃度 / 水田 / モデル / FACE / メタン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、モジュール1: 地力窒素の給源と微生物を介した窒素動態に与える温暖化影響の解明、モジュール2: 温暖化環境下における無機化予測モデルの検証と精緻化を同時並行的に遂行してきた。 平成28年度はモジュール1における残りの課題に取り組んできた。平成27年度の結果として、高濃度二酸化炭素実験圃場(以下FACE圃場)の経年アーカイブ土壌サンプルの分析を行った結果、全炭素、全窒素量はFACE区で減少している結果であったが、平成28年度に行った統計分析の結果、初期値の違いが大きく影響したことが分かり、実際のFACE処理が肥沃度に与えた影響は確認できなかった。窒素無機化量についても、再現性を求めるため、平成27年度に行った実験を再度行ったが、窒素無機化量に大きく影響を与えたのは年次であり、二酸化炭素処理はほとんど影響しなかった。また、平成28年度は窒素無施肥区からのアーカイブ土壌の分析を新たに行ったが、窒素性肥料の有無は、土壌炭素、窒素量、窒素無機化量にはほとんど影響を与えないことが分かった。 一方、培養を行った際に発生した炭素量(二酸化炭素とメタンの合計量)を分析した結果、年次を追うごとに高濃度二酸化炭素処理区において、有意に量が減少していることが明らかになった。すなわち、高濃度二酸化炭素処理は、土壌窒素ではなく、炭素、しかも易分解性画分をまず減少させることが示唆された。 さらに、発生した二酸化炭素とメタンの炭素安定同位体比を分析した。その結果、FACE区において発生した炭素の13Cは対照区よりも低く、FACE由来炭素が土壌有機物に入り、その後分解されたことが示唆された。この値を用いて、今後、炭素動態の解析をさらに行っていくこととした。また、無施肥区における易分解性炭素の13Cシグナルは通常施肥区のそれよりも低い傾向が見られ、この原因についても解析していく予定である。
|
Research Products
(1 results)