2016 Fiscal Year Research-status Report
有機物施用に伴うプライミング効果を考慮した土壌炭素動態のモデル化
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26850039
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
早川 智恵 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特別研究員 (10725526)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プライミング効果 / 火山灰土壌 / 埋没腐植層 / セルロース / グルコース / 炭素貯留 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、土壌炭素動態モデルに難分解性有機物の分解プロセス(『プライミング効果』)を組み込むことを目的としている。北海道標茶町の森林・農耕地の黒ぼく土を事例とし、プライミング効果を引き起こす土壌微生物や環境条件を解明する。 平成28年度は、13-C標識セルロースを異なる濃度で表層・埋没腐植層の土壌に添加・長期培養し、13-CO2と12-CO2放出量を測定することにより、難分解性土壌有機物の分解に及ぼすプライミング効果の影響、および、プライミング効果の基質濃度依存性について調べた。土壌からの全CO2放出速度は、表層・埋没腐植層共に、セルロースの添加濃度が高いほど高かった。表層・埋没腐植層の両方において、正のプライミング効果が生じた(難分解性土壌有機物の分解が促進された)ことが示唆された。また、培養した土壌から微生物を抽出し、微生物バイオマスおよび微生物群集の組成についてPLFA法を用いて調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度は出産により産前休暇・育児休暇を取得したため、実験およびデータ解析が中断となった。そのため、やや遅れているが、今年度4月より復帰し、研究を再開できる運びとなったので、進捗には問題ないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、表層・埋没腐植層においてプライミング効果が生じることが明らかとなった。平成29年度は、プライミング効果に影響を及ぼす微生物群集を特定するため、土壌微生物群集の構造について解析を行う。また、土壌有機物の分画および14-C年代測定を実施し、現場土壌における農地転換後のプライミング効果について検証する。これらの結果を基に、プライミング効果のモデルパラメータについて検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
産休・育休を取得し、研究を中断したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月より研究再開となった。前年度に中断した実験および解析の続行、学会・論文等の成果発表に使用する予定である。
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