2015 Fiscal Year Research-status Report
プロトカテク酸脱炭酸酵素の活性向上機構の解明と植物バイオマスからのムコン酸生産
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26850041
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
園木 和典 弘前大学, 農学生命科学部, 准教授 (20502264)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロトカテク酸脱炭酸酵素 / ムコン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、脱炭酸活性が向上したプロトカテク酸脱炭酸酵素(Pdc)について、酵素活性向上のメカニズムを明らかにするとともに、高活性化Pdcと多様なリグニン系芳香族化合物を分解できるPseudomonas putida KT2440株の代謝系を利用したccMA生産微生物株を育種することを目的としている。H26年度に引き続き、(1)脱炭酸活性が向上した高活性化Pdcの生化学的諸性質の評価と、(2)高活性化Pdcを発現しccMAを蓄積するP. putida組換え体の作出とccMA生産能力評価について、H27年度の計画を実施した。 (1)脱炭酸活性が向上した高活性化Pdcの生化学的諸性質の評価:高活性化Pdcの酵素活性は4℃で24時間経過した後も80%以上保持されたが、透析処理(MWCO 3,500、4℃、16時間)により、10%以下に低下した。非組換え大腸菌の粗酵素液を限外濾過(MWCO 3,000)して調製した濾液の添加は、10%以下に低下したPdc活性をわずかではあるが有意に回復したことから、分子量3,000以下の低分子化合物がPdc活性に要求されることが示唆された。 (2)高活性化Pdcを発現しccMAを蓄積するP. putida組換え体の作出とccMA生産能力評価:新たにprotocatechuate 3,4-dioxygenaseとcis,cis-muconate cycloisomeraseを特異的に遺伝子破壊した株を作出し、高活性化Pdc、Vanillate demethylase、Catechol dioxygenase、p-hydroxybenzoate hydroxylaseを発現させた。同組換え株は、リグニン系芳香族化合物であるvanillic acid、p-hydroxybenzoic acidからccMAを高収率で生産できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)脱炭酸活性が向上した高活性化Pdcの生化学的諸性質の評価 これまでに明らかにされていなかったPdcの生化学的性質を明らかにした。しかしPdcは不安定な補因子を必要とする酵素であったため、精製酵素の構造解析には至らなかった。 (2)高活性化Pdcを発現しccMAを蓄積するP. putida組換え体の作出とccMA生産能力評価 当初計画通り遂行し、リグニン系芳香族化合物であるvanillic acidから理論収率でccMAを生産できる微生物株の作出を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は最終年度である。Pdc活性に要求される補因子について同定に向けた取組みは継続して実施するが、その不安定性から結論の取得に時間を要することが予想できる。そこで、これまでに明らかにした高活性化Pdcの生化学的性質とこれまでの解析から推測できる反応機構について学術論文への投稿を優先して進める。 また、H27年度までに作出したccMA生産微生物株について、計画通り多様なリグニン系芳香族化合物からccMAを生産する能力の評価を進めていくとともに、予定通り、温度感受性muconate cycloisomeraseの作出に取組む。
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Research Products
(4 results)