2014 Fiscal Year Research-status Report
Ecl1 familyタンパク質の寿命延長メカニズムの解析
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26850048
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 北斗 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (10632151)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | Ecl1 / Ecl1 family / 分裂酵母 / 経時寿命 / 寿命 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、分裂酵母のEcl1 familyタンパク質による寿命延長メカニズムの解析を行い、今年度においては特にその金属との関連において重点的に解析を行った。今年度の研究によって、以下の成果を得た。 ①2種類の金属因子が分裂酵母の経時寿命に影響を与えることを明らかにした。 ②Ecl1高発現による長生きが2種類の金属因子の過剰添加によって抑えられることを明らかにした。 ③Ecl1 family遺伝子の三重欠損株は経時寿命が短い。しかし、通常の寿命測定方法においては、この変異株は生育定常期中の再成長が起こることが頻繁にあり、寿命の観点からEcl1 family遺伝子との遺伝学的相互作用を示す因子のスクリーニングは困難であった。しかし今回、正確で、容易に再現可能な寿命測定方法を確立することに成功し、この手法によって、Ecl1 family遺伝子三重欠損株の早死にの表現型を回復させる候補因子をいくつか獲得することができた。 ④分裂酵母のEcl1が金属と結合しているタンパク質であるかどうかを調べるため、そして、その結合にEcl1のシステイン残基が重要ではないかと考え、大腸菌に分裂酵母のEcl1とシステインに変異をいれたEcl1を発現させた。今後、ICP発光分光分析法(Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectroscopy: ICP-AES)を用いてEcl1が何らかの金属を有しているか、そしてそれがシステイン残基に依存するかどうかを調査する。 上記の研究成果により、Ecl1 familyの解析だけでなく、金属と分裂酵母の寿命との関係に関しての知見をえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特に大きな問題も起きず、研究は順調に進んでいる。 大腸菌由来のHAタグをつけたEcl1が不溶化して精製が困難になってしまったが、 タグの変更によって問題は解決した。
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Strategy for Future Research Activity |
Ecl1が金属結合タンパク質かどうかを調査する。 数種類の金属が分裂酵母の寿命およびEcl1による寿命延長に関わっていることがわかったため、今後これらの関係をより深く調査する。
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Causes of Carryover |
当初の予定であったHA-Ecl1タンパク質の解析において、HA-Ecl1タンパク質が不溶化してしまった。このため、そのタンパク質を用いた解析が少し遅れてしまった。現在ではGST-Ecl1タンパク質を用いることにして、その問題も解決できたと思っている。このタンパク質解析の遅れのため、次年度使用額が生じた。 また、2014年度の前期は想定以上の教育に関する負担が多かったため、全体的に少し本研究への取り組みが遅れてしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は遅れたタンパク質解析に用いる。 また、この解析の遅れによって行えなかった論文や学会での発表の経費にあてる。
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