2014 Fiscal Year Research-status Report
鉄還元細菌のマルチヘムc型シトクロムの生産・分泌機構の解明
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26850052
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井上 謙吾 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70581304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄還元菌 / Geobacter / 細胞外電子伝達 / Ⅱ型分泌システム / c型シトクロム / ヘム修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄還元菌・発電菌として代表的なGeobacter sulfurreducensの標準株であるPCA株の全ゲノムデータの解析により、ヘムcとペプチド鎖の結合反応を触媒するヘムリアーゼ遺伝子(ccmF/ccyK/ccsA)ホモログが6個GSU0614、GSU0705、GSU2880、GSU2890、GSU3283、GSU3316存在することが明らかとなっており、これらの6つの遺伝子のうちGSU0614とGSU3283は電極を電子受容体とした場合に発現が低下することが報告されている。6つの遺伝子それぞれについて遺伝子破壊を行うために必要な遺伝子カセット(それぞれの遺伝子の両末端の配列と周辺配列を含む500~700 bpの遺伝子断片がカナマイシン耐性遺伝子カセットを挟むよう配置されている)を作成しており、それらを用いてPCA株を形質転換することで破壊株を作成する。また、細胞外へ分泌あるいは、細胞外膜に局在するc型シトクロムにおいてはペリプラズムでヘム修飾を受けた後、Ⅱ型分泌システムなどの分泌システムを介して細胞外へ分泌されることが知られている。特にc型シトクロムの分泌を担うと考えられたⅡ型分泌関連遺伝子oxpGの破壊株は、電極への電子伝達能力を欠損していた。生産される全ヘムタンパク質についての網羅的解析から(SDS-PAGE後のヘム染色)、oxpG破壊株において、一部のc型シトクロムは正常に生産されていないことが明らかになった。oxpG破壊株の相補株を作成し、相補株が生産するヘムタンパク質を網羅的に調べたところ、破壊株同様にc型シトクロムの正常な生産能力を欠いていた。理由として、相補したoxpGが正常に機能する形で生産されていないことが考えられた。さらに、現在、oxpGの上流に位置する他のⅡ型分泌関連遺伝子についても破壊株を作成するため、上記ヘムリアーゼ遺伝子破壊株の作成方法と同様の方法で破壊株作成の準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子破壊を試みているヘム修飾系遺伝子、及び、Ⅱ型分泌システム関連遺伝子とc型シトクロムの生産・分泌について直接関連性を示す例を示すことはできていないものの、実質的な検証を行うに足る準備が整っている。次年度以降の研究で大きく発展することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
作成が完了したそれぞれの破壊株については、発現タンパク質の網羅的解析を行い、それぞれc型シトクロムの生産にどのような影響を与えているかを明らかにする。特に、不溶性の酸化鉄、及び、電極への電子伝達を担うc型シトクロムについては、MALDI-TOF-MSによる高精度な分子量測定によって正常にヘムが結合しているかどうか、細胞分画法によって細胞外電子伝達に関わるc型シトクロムが細胞外へ分泌されているかどうかについて検証する。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Structural basis of the divergent oxygenation reactions catalyzed by the Rieske non-heme oxygenase, carbazole 1,9a-dioxygenase2014
Author(s)
Kengo Inoue, Yusuke Usami, Yuji Ashikawa, Haruko Noguchi, Takashi Umeda, Aiko Yamagami-Ashikawa, Tadafumi Horisaki, Hiromasa Uchimura, Tohru Terada, Shugo Nakamura, Kentaro Shimizu, Hiroshi Habe, Hisakazu Yamane, Zui Fujimoto, Hideaki Nojiri
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Journal Title
Applied and Environmental Microbiology
Volume: 80
Pages: 2821-2832
DOI
Peer Reviewed