2015 Fiscal Year Annual Research Report
鉄還元細菌のマルチヘムc型シトクロムの生産・分泌機構の解明
Project/Area Number |
26850052
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
井上 謙吾 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70581304)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄還元菌 / Geobacter / 細胞外電子伝達 / Ⅱ型分泌システム / シトクロムc / ヘム修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄還元菌・発電菌として代表的なGeobacter sulfurreducensの標準株であるPCA株は鉄還元菌による細胞外電子伝達のモデル生物として研究が行われてきた。細胞外電子伝達に必要であるc型シトクロムはぺリプラズムでc型ヘムが付与され、特定のc型シトクロムは細胞外へ分泌されることが知られている。シトクロムの細胞外分泌に関わることが明らかになっているⅡ型分泌系について、pul遺伝子群を構成する遺伝子破壊株について、生産されるシトクロムタンパク質を調べたところ、微生物燃料電池で必須なOmcZが正常に生産されていなかった。すなわち、ぺリプラズムでその多数が水溶性の高い50 kDaのシトクロムOmcZLとして存在するが、その後、プロテアーゼによる切断を受けて30 kDaの水溶性の低いOmcZSになる。本研究により、Ⅱ型分泌系の破壊によって、OmcZSの生産が阻害されたことから、OmcZLの切断は分泌後の細胞外で行われる可能性が示唆された。シトクロムタンパク質のヘム修飾は、大腸菌などではぺリプラズムで行われることが知られている。PCA株の全ゲノムデータの解析により、ヘムcとペプチド鎖の結合反応を触媒するヘムリアーゼ遺伝子(ccmF/ccyK/ccsA)ホモログが6個存在することが明らかとなっている。過去に行われた最終電子受容体をフマル酸、あるいは電極とした場合のトランスクリプトーム解析の結果からこれらヘムリアーゼ遺伝子のうち2つは、電極を電子受容体とした場合に発現が低下することが報告されていた。そのため、それ以外のGSU0705、GSU2880、GSU2890、GSU3316の遺伝子について、破壊株の作製を試み、遺伝子破壊を行うために必要なDNA断片(それぞれの遺伝子の両末端の配列と周辺配列を含む遺伝子断片がカナマイシン耐性遺伝子カセットを挟むよう配置されている)を作成した。
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