2015 Fiscal Year Research-status Report
微生物・電極間相互作用の解明と制御による微生物電気化学システムの高効率化
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26850056
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
高妻 篤史 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (20634471)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微生物電気化学 / 微生物燃料電池 / バイオフィルム / 細胞外電子伝達 / 発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、電気化学的な活性を持ち、電極と直接的に電子授受を行う微生物(electrochemically active bacteria; EAB)が注目を集めている。EABは微生物燃料電池や微生物電気合成などへの応用が期待されており、その電流生成メカニズムや代謝機能の解明が望まれる。本研究では世界的に最もよく研究されているEABであるShewanella oneidensis MR-1株を用いて、本株が電極と相互作用するメカニズム(電極上へのバイオフィルム形成や電流生成の制御機構)を解明することを目的とした。 申請書に記載した項目のうち,電極上へのバイオフィルム形成過程の解明については、MR-1株がグラファイト電極上で形成するバイオフィルムを共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察する手法を確立し、本株が電流生成条件において他条件(好気条件等)とは全く異なる構造のバイオフィルムを形成することを明らかにした。 またMR-1株の電流生成に関連する代謝制御機構についても解析を進め、本株が電極電位を認識し、呼吸鎖電子伝達系を切り替えるメカニズムを解明した。また本株が電極電位に応じて異なる呼吸鎖タンパクを使用し、エネルギーを保存することを明らかにした また電流生成関連遺伝子の転写調節機構についても解析を進めた結果、これらの遺伝子の発現制御に関与する新規因子を発見した。さらに特定の物質を添加することで電流生成遺伝子の発現を調節し、MR-1株の電流生成量を制御することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
MR-1株の電極バイオフィルム形成過程の解明については、電流生成条件におけるバイオフィルム構造の観察に成功し、研究計画は順調に進展していると考えられる。 また電流生成の制御メカニズム解明においては、電流生成に関与する新規因子を発見し、当初の期待を上回る結果を得た。そのため、研究計画は当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年度は、研究申請書に記載した計画に加え、新たに見出した因子がMR-1株の電流生成を制御するメカニズムについて、分子生物学的手法を用いて解明する。またMR-1が電流生成時に異なる構造のバイオフィルムを形成する機構についても着目し、原因となる分子メカニズムの解明を行う予定である。
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Causes of Carryover |
遺伝子発現実験に必要な試薬の納期が国内在庫の不足によって大幅に遅れ、H27年度中の実験を行うことができなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定していた遺伝子発現実験に必要な費用として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)