2014 Fiscal Year Research-status Report
糸状菌アクレモニウム・セルロリティカスの糖化酵素遺伝子の発現制御機構の解析
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26850058
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
藤井 達也 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオマスリファイナリー研究センター, 主任研究員 (10613549)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 糖化酵素 / セルラーゼ / タラロマイセス・セルロリティカス / アクレモニウム・セルロリティカス / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、糸状菌タラロマイセス・セルロリティカス(旧称アクレモニウム・セルロリティカス)が生産する糖化酵素群について、その遺伝子発現機構の解析を試みる。 1)新規な転写因子の検索 本解析に先立ち、本菌の糖化酵素遺伝子のプロモーター領域を用いたレポーター解析を行った。その結果、エンドグルカナーゼ遺伝子の転写に重要な領域を見出した。現在、特定した領域に結合する核タンパク質の探索を試みており、新規な転写因子の取得が期待される。さらに、他の糖化酵素遺伝子についてもレポーター解析を進めている。また、本レポーター解析を行う宿主株の作製を通じて、①ligD遺伝子の破壊による相同組み換え効率の向上、②生育マーカー遺伝子のリサイクル技術の開発、にそれぞれ成功した。本技術は、本菌の遺伝子発現機構を解析する上で非常に有用であり、今後の解析に大きく貢献すると考えられる。 2)他の糸状菌で知られる転写因子の解析 他の糸状菌で糖化酵素遺伝子の転写に寄与することが知られる転写因子に相同性を示す7遺伝子を、本菌のゲノム情報から選抜した。これらの遺伝子について遺伝子破壊株を作製し、糖化酵素遺伝子の生産への影響を調べた。その結果、tacAおよびtctA遺伝子が本菌の糖化酵素生産に重要な役割を有することが明らかとなった。これらの遺伝子が糖化酵素生産を正に制御するという報告は本研究が初めてである。また、Hap complexやAreAといった、糖化酵素遺伝子を含む広範な遺伝子を制御することが予測された転写因子について、遺伝子破壊株を作製した。現在、これらの生理的意義の解明を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新規な転写因子の単離には至っていないが、計画に向けた基礎データを蓄積できている。さらに、研究開始年度に英文誌および国際会議での成果発表を達成したため。
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Strategy for Future Research Activity |
新規な転写因子の単離・同定、既に遺伝子破壊株を取得している転写因子の機能解析を進める。研究計画の変更はない。
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Research Products
(2 results)