2014 Fiscal Year Research-status Report
新規ホスホリラーゼの網羅的探索を基軸とする機能性オリゴ糖ライブラリーの拡充
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26850062
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中井 博之 新潟大学, 自然科学系, 助教 (00400002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酵素 / 糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内糖質代謝に関与する糖質加リン酸分解酵素(ホスホリラーゼ)による糖質合成収率は極めて高く、産業上有用な酵素になり得る。しかしながら、既知のホスホリラーゼは他の糖質関連酵素に比べて報告例が少なく、今後生産可能な糖質のバリエーション拡大には新たな反応特異性を示すホスホリラーゼの発見が必須である。近年ゲノム全塩基配列の解読を目標としたゲノムプロジェクトが様々な生物種を対象に実施されており、今後新規なホスホリラーゼの発見の可能性は極めて高い。本研究では、様々な生物種のゲノム情報を活用して新規なホスホリラーゼを網羅的に探索し、得られた新規酵素群が触媒する加リン酸分解反応時の基質特異性およびオリゴ糖合成反応時の糖受容体特異性の解明を通して、オリゴ糖ライブラリー構築を試みる。本年度は、機能未知ホスホリラーゼ遺伝子を有する生物種のゲノムDNAから目的遺伝子をPCR法により単離し、大腸菌による各種組換え酵素の異種宿主発現系を確立した。大量調製した組換え酵素の詳細な機能解析の結果、これまで報告例のない新規なホスホリラーゼを複数発見することが出来た。当該新規ホスホリラーゼの発見により、新たな生体内糖質代謝機構を提唱した。また、得られた新規酵ホスホリラーゼが触媒するオリゴ糖合成反応を用いて、多種多様なヘテロオリゴ糖の合成にも成功している。現在、X線結晶構造解析により新規ホスホリラーゼの立体構造を解明中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
バイオインフォマティックスを活用した新規ホスホリラーゼの網羅的探索は予想以上の研究結果を生み出しており、オリゴ糖ライブラリーの拡充も達成されていることから、今後の研究進展が大いに期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、新規ホスホリラーゼのX線構造解析で得られた知見を基に、部位特異的変異導入法により新たな反応特異性を示す酵素を作出する。さらに、安価に入手可能な天然糖資源から目的オリゴ糖への高収率変換技術の開発にも取り組む。
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