2015 Fiscal Year Research-status Report
発熱植物ザゼンソウの温度受容機構におけるクロマチンサーモスタットモデルの検証
Project/Area Number |
26850065
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
稲葉 靖子 宮崎大学, テニュアトラック推進機構, 助教 (80400191)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 植物 / 遺伝子 / 発現制御 / 呼吸 / ミトコンドリア / 発熱 / 温度受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
温度は、植物の開花生理に様々な形で作用する。発熱植物ザゼンソウの場合、低温を受容した後、発熱誘導という形で作用を発揮して、氷点下を含む寒冷環境下でも花の体温を20℃前後に維持できる。加えて本植物は、温度受容から発熱応答に至る一連の反応が迅速に進むため、優れた温度センサーをもつことが示唆されてきたが、温度受容に絡む分子機構は以前として不明である。そこで本研究では、最近シロイヌナズナで見出だされた「クロマチンサーモスタットモデル」がザゼンソウにおける迅速な温度受容機構に適用できるのではないかと考えて、本モデルを基に、ザゼンソウの温度受容と発熱応答をつなぐ新規の転写因子を同定し、当該転写因子を中心とした分子ネットワークの解明を目指している。 ザゼンソウの持つ優れた温度センサーは、開花後の特定の成長ステージにおいて活発に働くことが示唆されている。そこで今年度はまず、発熱前の花と活発に発熱する花のトランスクリプトームの比較解析を行った。その結果、発熱する花での発現が高い転写因子群が特定され、さらに本研究のターゲット遺伝子(A)と類持した遺伝子発現プロファイルを持つ複数の転写因子を特定することに成功した。加えて、ターゲット遺伝子(A)と当該遺伝子と同じ遺伝子ファミリーに含まれる遺伝子(B)の機能を調べるために、これらの遺伝子をシロイヌナズナに導入した形質転換体を作出して緒性質の検討を行った。その結果、作出した形質転換体は、野生株と比べて開花生理等に関する緒性質の違いは観察されたが、植物の熱現象に関わる遺伝子の発現については、野生型と同程度であった。本結果は、シロイヌナズナとザゼンソウでは植物種が大きく異なることが原因の一つと考えられたため、今年度はさらに、ザゼンソウ由来プロトプラスト調整法を確立して、本研究目的を達成するための基礎実験系の整備も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度において、ザゼンソウの異なる成長ステージにある花のトランスクリプトーム解析を行い、本研究目的の一つである分子ネットワークの解明に向けて一定の成果が得られたため。加えて、ターゲット遺伝子(A)および(B)を導入した形質転換植物の解析を通して、これらの遺伝子の機能に関して、一定の解析を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
温度依存的な細胞内整理に重要であることが示唆されたターゲット遺伝子(A)の上流領域と特異的に結合する転写因子等の同定を目指していきたい。
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[Presentation] Ubiquitin-proteasome dependent regulation of GLK1 protein accumulation in response to plastid signals in Arabidopsis.2015
Author(s)
Inaba, T., Tokumaru, M., Adachi, F., Toda, M., Ito-Inaba, Y., Yazu, F., Sakakibara, Y., Suiko, M. and Kakizaki, T.
Organizer
Annual Meeting of the Society for Experimental Biology
Place of Presentation
Prague (Czech Republic)
Year and Date
2015-07-01 – 2015-07-02
Int'l Joint Research / Invited
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