2015 Fiscal Year Research-status Report
重合ポリフェノールの消化管ホルモンを介した代謝調節機構に関する研究
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26850082
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 陽子 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10543796)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロシアニジン / テアフラビン / GLP-1 / 消化管 / 血糖上昇抑制 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果として、重合ポリフェノールによる消化管ホルモン分泌調節作用の解明では、プロシアニジン4量体までを、化合物レベルで投与した際の活性強度の比較検討を行った。その結果、GLP-1分泌能が重合度依存的に高まることを解明した。その下流因子である、インスリン分泌や筋肉でのインスリンシグナル経路も同様の反応を示していることを確認した。また、プロシアニジン類は、体内でほぼ検出できないほどの微量で血糖上昇抑制効果を示したことから、消化管での作用を強く示唆する結果であると考えられた。テアフラビンについてもGLP-1分泌促進作用を有するか否かを測定したところ、分泌促進傾向が得られた。また、糖負荷試験を行ったところ、血糖上昇抑制効果を示した。小腸ホルモン分泌細胞であるSTC-1を用いて、GLP-1分泌能を有する因子のスクリーニングならびに詳細な作用機構解明に必要な実験系を構築することができた。次に、プロシアニジンが神経伝達物質であるカテコールアミンに及ぼす影響を検討するための、動物実験を用いた継時的なカテコールアミン血中濃度測定方法を確立した。この方法を用いて、プロシアニジンならびにテアフラビン類がカテコールアミンの分泌を促進するか否かを検討したところ、テアフラビンでアドレナリンやノルアドレナリンの分泌を促進することが明らかとなった。初発標的分子と活性本体の解明、ならびにインクレチンホルモンとカテコールアミン類のホルモン間相互作用については、今後の検討課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
重合ポリフェノールによる消化管ホルモン分泌調節作用は、in vivoとin vitroの両方で検証することができた。いまだ詳細なメカニズムが判明していない点が、最終年度の課題である。本年度はプロシアニジン以外の重合ポリフェノールの候補として、テアフラビンにおける評価を目標に掲げていたが、テアフラビンの血糖上昇抑制効果と消化管ホルモンならびに神経伝達物質分泌促進効果を解明できた点は、研究が進んだと評価できる。消化管ホルモンと神経伝達物質の相互作用についても、次年度の残された課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.重合ポリフェノールによる消化管ホルモン分泌調節作用は、ホルモン間相互作用について検討する。GLP-1あるいはカテコールアミンを投与した際に、他方のホルモン分泌が促進されるかについて検証するとともに、いずれかの分泌機構を阻害した際に、他方の分泌能が維持されるか否かを検証し、相互間作用を検証する。さらに2.プロシアニジンとテアフラビンが消化管ホルモンや神経伝達物質の分泌を促進する詳細な分子機構解明が必要である。その方策として、近年GLP-1分泌に関わると報告されている受容体について、それらをサイレンシングして重合ポリフェノール類の機能性を評価し、分子ターゲットを解明する予定である。
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Research Products
(4 results)