2015 Fiscal Year Research-status Report
食品成分の摂取がもたらす温度受容TRPチャネルを介した体温変化作用機序の解明
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26850086
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Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
森 紀之 滋賀県立大学, 人間文化学部, 助教 (90585184)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | TRPチャネル / 体温調節 / マウス |
Outline of Annual Research Achievements |
食品には、中医学における「四気」に表されるように身体を温めたり冷やしたりする働きがあるとされてきたが、経験的な知見が多く、実際の体温変化や作用機序については未だ不明な点が多い。本研究は食品の摂取による体温変化およびその作用機序の解明を目的としている。本研究ではまず、生体において温度受容に関する生理的な役割が明らかになっている温度受容TRPチャネルに着目し、温度受容TRPチャネルを活性化する食品成分の摂取が体温に与える影響の解析および食品成分摂取による体温変化におけるTRPチャネルの関与の解明を目的とした。生体の自律性体温調節は外気温や個人の体調など様々な要因の影響を受けるため、ヒトにおいて詳細な解析が難しい。そこで実験動物を用いて解析を行った。これまでにTRPV1、TRPA1、TRPM8のアゴニストとなる食品成分の摂取による体温への影響を検討したところ、それぞれのTRPチャネルアゴニストの摂取による体温変化にはTRPチャネルが関与することが明らかになった。本年度は、体深部温度が上昇または低下する環境下におけるTRPチャネルアゴニスト摂取による体温変化について評価した。TRPチャネルアゴニストの摂取は既に体温調節が動員されている状態においても同様の傾向となる体温調節反応を生じさせた。しかしながら、環境温度の状況によっては動員される体温調節は同じであるが体温に関しては環境温度が定常の状態とは異なる結果を示した。以上の結果からTRPチャネルアゴニスト摂取により動員される体温調節は環境温度にはあまり左右されない事、さらに体温の評価に関しては投与時にすでに動員されている体温調節に関して考慮することが重要である事が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画とは達成する順番は前後し、一部達成できていない部分も残っているが、その他に関してはおおむね計画通りの内容について着手する事ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画通りに進行する。当初は計画していなかった体温以外での体温調節の評価の可能性についても、より詳細に結果を示すために検討することとする。
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Causes of Carryover |
当初実施予定であった実験が次年度以降の実施の予定に変更したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越された実験計画を実施するため、当初の予定金額を次年度に繰り越し予定通りに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)