2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26850095
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 由紀子 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特任研究員 (60725266)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナラ枯れ / Raffaelea quercivora / アンブロシア菌 / 酵母 / 養菌性キクイムシ / 生物間相互作用 / 多様性 / カシノナガキクイムシ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,病原菌Raffaelea quercivoraと同所的に存在し,媒介昆虫カシノナガキクイムシの繁殖に寄与している共生菌(酵母類)に着目し,共生菌の生態と病原菌との菌類間相互作用を明らかにするとともに,菌類を中心とした宿主-病原菌-共生菌-媒介昆虫間の直接的・間接的な相互作用を解明することを目的とする. 本年度は,共生菌と病原菌の遷移と栄養ニッチ分化(媒介昆虫-病原菌-共生菌相互作用)を明らかにするための調査・サンプリングを行った.7月に野外よりナラ枯れ被害木(前年枯死木(脱出後))を伐倒採集し,実験室内に持ち帰り,坑道の壁面と媒介昆虫の前胸背板および胃から菌の分離を行った.坑道壁からの組織分離により出現した菌叢を外観により類別した結果,R. quercivoraとRaffaelea属菌とみられる6種類の糸状菌(Raffaelea sp.1~6)の57菌株が得られ,それぞれの分離率は27.1%および3.4~35.6%であった.この他に,組織分離で2菌株の酵母類の菌株が得られた.一方,媒介昆虫からの分離により出現した菌叢は,前胸背板と胃に共通して,坑道から分離された菌類とは異なる1種類の菌種が優占して出現し(46.2%),ついでR. quercivoraを含むRaffaelea属菌(25.6%),酵母類(17.9%)の39菌株得られた.虫からの分離の際,手法面で改善の余地があり,2回目以降のサンプリングでは手法を改変する必要があると考えられた.なお,分離により得られた菌株は凍結保存した.
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