2015 Fiscal Year Annual Research Report
糖代謝関連酵素遺伝子配列に着目した木材腐朽菌の新規分類手法の開発とその利用
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26850114
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 朋子 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 農学特定研究員 (70638717)
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Project Period (FY) |
2014 – 2015
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Keywords | 木材腐朽菌 / 糖代謝関連酵素遺伝子 / 分子時計解析 / 微生物叢 / 次世代シーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は最近、糖代謝関連酵素遺伝子配列を用いることで、従来目視で大別されてきた褐色腐朽菌、白色腐朽菌などを各菌の特徴に基づいて系統分類ができる可能性を見出した。そこでこの新規分類法を確立するため本研究では下記項目を研究目的とした。 (1)ゲノムデータベース上に登録されている各木材腐朽菌の糖代謝関連酵素遺伝子配列の詳細な解析を行うことで、各木材腐朽菌の特徴に基づいた新規分類手法の開発を行い、その結果から木材腐朽菌の多様性や進化について考察する。 (2)国内外の歴史的建造物、木造住宅等から得た実際の試料に、これらの遺伝子配列を用いた木材腐朽菌の分類手法を適用する。 1. 木材腐朽菌の分類手法の開発 米国エネルギー省ジョイントゲノム研究所、米国・クラーク大学、東京大学などの担子菌ゲノム解析コンソーシアムが現在推進しているゲノムプロジェクトからのゲノムデータベース情報を利用し、種々の木材腐朽菌の菌類の糖代謝経路で反応を触媒する糖代謝関連酵素遺伝子配列を探索した。また、これらの配列を比較することで、各木材腐朽菌の特徴に基づいた系統分類が可能な遺伝子群を探索した。現在論文投稿に向けてこれらの解析結果について取りまとめている。 2. 実際の試料を用いた木材腐朽菌の分類手法の適用 菌類の上記糖代謝関連酵素遺伝子配列を取得するための条件検討を行った後、京都大学、トルコ・イスタンブル大学との共同研究でご恵与頂いた実際の試料からゲノムDNAを抽出し次世代シーケンス技術を用いて上記糖代謝関連酵素遺伝子配列を取得し系統解析を行った。得られた結果から菌類の分布や動態、検出された菌の起源等について考察した。以上で得られた結果を基に現在投稿論文を執筆中である。
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