2014 Fiscal Year Research-status Report
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26850115
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
塩崎 拓平 東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員(PD) (90569849)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アンモニア酸化 / 脱窒菌法 / 硝酸塩取り込み速度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は海洋表層における硝化活性の測定法を開発し、それを実海域に適用することで、硝化活性が表層物質循環に与える影響を明らかにし、またその変動要因を解明することを目的としている。当初の予定では初年度(平成26年度)には、硝化活性測定法の開発に専念することを予定していたが、装置の改造及び脱窒菌法の条件検討が速やかに進み、半年程度で測定法が確立されるに至った。そのため本年度は参加した白鳳丸KH-14-3航海において、硝化活性(アンモニア酸化速度)の測定を適切に遂行できた。本航海は太平洋赤道域から北極までの環境の異なる様々な海域をカバーしており、硝化活性の環境変動要因を明らかにする目的に資するものと考えられた。観測の結果、アンモニア酸化速度はベーリング海の一点を除いて、全ての測点で検出され、有光層下部で極大を持った。海洋表面においてアンモニア酸化が検出されたのは赤道域のみであった。硝化活性の水柱積算値は赤道域が亜熱帯域に比べて高かった。また硝化活性は亜寒帯域からベーリング海南部の測点にかけて亜熱帯域に比べて高くなっていたが、それ以北は硝化活性が顕著に低く、水柱積算値では亜熱帯域より低くなっていた。この海域による硝化活性の変動の要因は次年度以降に明らかにしていく予定である。本航海では硝化活性と同時に硝酸塩取り込み速度の測定を行った。硝酸塩取り込み活性に対する硝化活性の割合は亜熱帯(57±32%)が他の海域(13±17%)に比べて顕著に高くなっており(p<0.05)、亜熱帯は特に硝化が表層物質循環に大きく影響していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では当初、脱窒菌法による15NO3測定法を開発することのみを目標としていたが、装置の改造及び脱窒菌法の条件検討が速やかに進み、半年で目標が達成された。そのため、予定されていた観測航海において、適切に実験を行うことができ、海域によるアンモニア酸化速度の違いや、各海域の物質循環における硝化の影響を明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に参加したKH-14-3航海ではアンモニア酸化速度の測定と同時にDNA, RNAサンプルの採取も行った。次年度はこれらのサンプルの分析を進めることで、アンモニア酸化細菌・古細菌のどのグループがアンモニア酸化に寄与していたのかを明らかにする。また同航海においてベーリング海北部から北極域においてアンモニア酸化が低くなる現象を発見した。この要因を明らかにするために夏季に北極域における観測が予定されているみらいMR15-3航海に参加し、サンプルを採取する予定である。
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[Presentation] 北太平洋の新生産における硝化の影響とアンモニア酸化細菌・古細菌の動態2015
Author(s)
塩崎拓平, 伊知地稔, 磯部一夫, 橋濱史典, 中村賢一, 江濱誠, 林崎健一, 高橋一生, 浜崎恒二, 古谷研
Organizer
日本海洋学会春季大会
Place of Presentation
東京都, 東京海洋大学
Year and Date
2015-03-21 – 2015-03-25
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