2014 Fiscal Year Research-status Report
藻場から磯焼け域への移行帯における無節サンゴモの種レベルの分布特性の解明
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26850123
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 亜記 広島大学, 生物圏科学研究科, 助教 (00452962)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 磯焼け / 藻場 / 無節サンゴモ / サンゴモ平原 / 温暖化 / 石灰藻 |
Outline of Annual Research Achievements |
藻場から磯焼け域へにかけての無節サンゴモの出現種と分布域を調査するため,標本採集を行った。採集地点は,藻場が豊かに繁る海域として,伊予灘に面した,周防大島(山口県)の南岸,山口県平生町,藻場から磯焼け域への移行帯として,豊後水道の愛媛県伊方町,八幡浜市,宇和島市,磯焼け域として,高知県大月町を選んだ。さらに,日本の温帯に分布する岩石付着性の無節サンゴモのうち,日本で記載された7種の基準産地が集中する神奈川県三浦市と,1種の基準産地である千葉県鴨川市において,日本で記載された種の採集を行った。 藻場から磯焼け域へにかけて優占的に見られた種について,パラフィン包埋による組織の形態観察を行い,種同定を行った。さらに,基準産地の標本を含む,同定済み標本の24種28サンプルについて,DNA抽出を行い,無節サンゴモ類の系統解析でよく利用される葉緑体コードのpsbAの配列を決定し,サンゴモ目全体について系統解析を行い,遺伝的な種のまとまりを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標本採集は天候に恵まれ,予定通り行えた。また,一部の標本の形態観察を進め,種の同定済みの標本について,DNA抽出と葉緑体コードのpsbAの塩基配列決定を行うことができた。そして,この配列をもとに系統解析ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,標本採集のほか,形態観察と分子系統解析による,種の定義の検討を行う。 標本採集は,昨年度に引き続き,日本で記載された温帯に分布する岩石付着性の無節サンゴモの種の基準産地で行う。今年度は,2種の基準産地である和歌山県潮岬において行う。これによって,西日本に分布する種の日本の基準産地すべてを網羅したことになる。そして,平成27年度までにサンプリングした標本について,優占種以外もパラフィン包埋による組織の形態観察を行い,種同定を行う。無節サンゴモの出現種を明らかにするとともに,無節サンゴモと藻場の環境について整理する。 さらに,遺伝子マーカーpsbAと,簡易な種判別に用いられるミトコンドリアコードのCOIや核コードのSSUの配列も必要に応じて決定し,psbAとともに推定した系統関係を考慮して,現在の分類体系に沿って定義し直す。
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Causes of Carryover |
購入予定物品の割引等により,2000円程差額ができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度の残額2000円は,今年度分と合わせて,旅費や,遺伝子実験用試薬,プラスチック系消耗品に当てる予定である。
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Research Products
(1 results)